2025.01.09 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2025年の経営戦略 日本ケミコン 上山典男社長

上山 社長

AIサーバー向けへ大型品などで対応

 2024年は22年後半以降の低調な受注状況が継続した。分野別では特に産機や新エネルギー関連が厳しく、唯一、AI(人工知能)サーバー関連が好調だった。

 期待しているのは、当社は米国に工場を持つため、米大統領選後に多くの欧米顧客から、米国工場からの出荷に関する問い合わせをいただいたこと。米国工場の地政学的な地位が高まれば当社にはプラスとなる。将来に向けて期待している。

 また、米中摩擦で日系や欧州系、中国系などの顧客が生産拠点を中国以外にシフトする話が増えているが、当社はインドネシアやマレーシア、台湾の工場で全製品を生産できる体制を敷いており、アドバンテージになる。

 25年は、AIサーバー市場が活況なため、独自技術を活用した大型・大容量の製品で対応していく。この大型品を他分野にも展開することで、製品の原価の抑制も進める。製品の性能面での差別化を図るため、新しい技術を活用し、メリットを出していく。

 宮城工場(宮城県大崎市)で建設を進めていた導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサー(ハイブリッドコンデンサー)の新製造棟が24年8月に完成し生産を開始した。ハイブリッドコンデンサーは宮城のほか、台湾、米沢の計3拠点で生産している。

 26年度にスタートする次期中期経営計画は、何を伸ばすべきかという戦略構築に現在取り組んでいる。分野別では、車載のキャッチアップと、AIの進化への対応、温暖化が進む中での新エネルギー市場への対応などが必要になる。ただ直近では、EV(電気自動車)市場が一服し、スマートフォンも普及が一巡しているため、次のキラーコンテンツの動きをいかにキャッチアップできるかが鍵を握ると考えている。

 設備投資は、25年度もハイブリッドコンデンサーの増産に継続して取り組む。新規電極箔(はく)による従来はなかった高圧・低圧の製品開発を進めており、その量産化への投資も行う。チップアルミ電解コンデンサーの製造設備も更新する。

 スマートファクトリー化による省人化は、現在目標の80%程度まで進んでいる。今後は物流部門のスマート化なども考えていく。