2025.01.14 【電子材料特集】各社の事業展開 大陽日酸

相田常務執行役員(右)と千葉事業部長

千歳ガスセンターへの投資継続

次世代半導体向けに供給へ

 日本酸素ホールディングスグループの大陽日酸は、半導体製造工程などで不可欠な特殊ガスを供給する大手メーカー。多様なニーズに対応の特殊ガスをそろえ、国内4カ所の生産拠点で高品質な製品を安定供給する。最先端の顧客向けでは、R&D部門との連携により新しい材料の開発・提案を進めている。海外輸入製品の国内ユーザーの要求仕様に合わせたカスタマイズ供給にも力を入れている。

 相田智之常務執行役員電子機材ユニット長と千葉賢治電子機材ガス事業部長は、最近の動向について「日本の半導体市況が活発化しており、特に熊本地区や北海道地区での投資が活発で、当社のガス供給機器事業は2024年も1年を通じて多忙だった」と話す。

 特殊ガス事業は、24年前半はパワー半導体向けなどが堅調だったが、年央から後半にかけ需要に陰りがみられるようになった。「それでもハードウエアと特殊ガスの全体では、ほぼ計画通りの実績を達成できた。減産が続いていたメモリー系需要も24年は回復傾向」。

 25年の展望は「北海道でラピダスによる大型投資が進んでいるため、うまく立ち上がってくれることを期待している。AI関連は海外のAI半導体向けが活況で、25年も継続してほしい。あとはパワーデバイスの市況回復を期待している」。

 同社は、ラピダスが北海道千歳市で建設を進めている次世代半導体工場向けにガス供給機器を供給するほか、24年に同工場構内に「千歳ガスセンター」を開設し、高品質なガス(窒素、酸素、アルゴンなど)を供給する。同社はこのほか、北海道では製造販売子会社の大陽日酸北海道(札幌市)、苫小牧工場(苫小牧市)を展開している。

 25年の展開は「特殊ガス事業は、半導体プロセスの進化に対応するガスの供給に努める。機器事業は、省人化を追求する。カーボンニュートラルに寄与する除害装置の提案にも力を入れる」とし、25年も千歳ガスセンターへの投資を継続するとともに、需要増大に合わせて各エリアで体制強化を推進する。