2025.01.16 【計測器総合特集】計測は産業のマザーツール デジタルマルチメーター
8桁半表示のDMM
計測業界では、計測できないものは作れない、計測は産業のマザーツールと言われる。高度な製品・サービスを生み出すためには、高精度な計測や評価が欠かせない。オシロスコープ、デジタルマルチメーターという基本的な測定器、幅広いユースケースを持つ赤外線サーモグラフィーカメラを紹介する。
二つ以上の電気量を測定
デジタルマルチメーター(DMM)は二つ以上の電気量を測定するテスト・ツール。アナログ式は可動コイル型のメーターで指針の指す位置の目盛りを読む。デジタル式は液晶ディスプレーなどに数字が表示され、読み取りミスを低減。アナログ式に比べて分解能が高い。
DMMはエンジニアにとって身近な測定器の一つ。直流・交流の電流や電圧、抵抗などを1台で測定できる。2本のテストリード(先端が棒状の測定具)を被測定物に接触させると電圧値や抵抗値が表示され、機器の動作状態の確認や故障診断ができる。電気・電子機器の開発や電気設備の保守管理、工事現場など、さまざまな場面で利用されている。
持ち運べるハンディータイプ、デスクや作業台に置いて使う高機能なベンチトップタイプ、シャツなどの胸ポケットに収まるポケットタイプまで各種のサイズがある。
直流・交流の電流や電圧、抵抗などの測定項目「ファンクション」をスイッチで切り替えて使用。測定対象を自動判定する機能「オートファンクション」もある。
レンジは各ファンクションで測定できる範囲。多くのDMMは測定対象に応じて自動的にレンジが切り替わる「オートレンジ」を採用。
一般的に高額なハイエンドタイプは、ファンクション数が多く、レンジも広い傾向がある。
現場では、少子高齢化に伴う人手不足が深刻化する。測定作業やデータ管理の効率化に向け、通信機能を備えたIoT化が進む。
近距離無線通信規格「ブルートゥース」対応のモジュールを搭載し、無線で測定データをスマートフォンやタブレットなどの端末に転送する自動記録機能の搭載が広がっている。
小型化、低消費電力化する高精度の電子部品、それらを含む電子回路の評価などに活用される現場では、より高分解能・高確度なDMMが求められている。
8桁半表示が可能な最上位機種のDMMは、超精密部品などの自動検査システム用で非常に高確度な測定が要求される場面で活用。通信関係の電子部品や半導体、センサーの開発現場や品質保証用などに使用される。近年は設計開発の効率化などを踏まえ、解析機能を持つ製品が増えている。