2025.01.16 【計測器総合特集】HIOKI 岡澤尊宏社長

岡澤 社長

マーケット軸にビジネスを開発

 HIOKIは、脱炭素化をはじめとした持続可能な社会の実現に向け、2021年から長期経営方針(期間10年)をスタートした。同社の想定以上にサステナビリティー実現の動きが加速し、業績は伸長。岡澤尊宏社長は「24年は外部環境変化に対応するために、社内に変化を作り出した一年だった」と振り返る。

 昨年は組織体制を大幅に見直した。岡澤社長は「国や地域によって顧客ニーズは全く異なる。違いを鮮明に捉えてマーケット軸でビジネス開発を行う」と説明する。

 組織再編では、プロダクト&マーケティング部門は開発から独立させ、市場の鮮度の高い情報を獲得し商品を企画・開発する。技術開発部門は顧客が目指す先行技術を開発に取り組む。

 社内外のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するために、グローバルDX推進部を設置した。また、データドリブン経営を強化するために、25年から基幹システムをはじめ、会計、CRM(顧客情報管理)など本格的な投資を進めていく。

 海外では、昨年1月に中国の販売体制を刷新。従来のエリア営業からマーケット営業に変更した。

 ほかにもタイ、UAE、インド、インドネシアで、拠点の設置や拡充を進めた。25年は11カ国目の拠点としてベトナムに現地法人を設立する。

 同社は21年に坂城工場を新設、22年本社工場内の増床増築工事が完了。連結売上高500億円以上が可能な生産能力を確保した。

 今後の部材の長納期化、部品廃止、価格高騰などを想定し、サプライチェーンマネジメント部を新設している。

 脱炭素化に向け、創業90周年の25年に自社で排出する温室効果ガス「スコープ1・2」で、同100周年の35年に事業者の活動に関連する他社の排出「スコープ3」でカーボンニュートラルを達成する方針だ。

 岡澤社長は「これまでの連続性ではなく、30年のゴールからバックキャストし、そのギャップを埋めるのが25年からの一番のテーマ。そのためにグループ一体経営を進める」と抱負を述べた。