2025.01.16 【計測器総合特集】チノー 豊田三喜男社長
豊田 社長
データドリブンでスピード経営
チノーは、計装システム、計測制御機器、センサーの主要3事業を展開する。豊田三喜男社長は「グローバルな脱炭素社会に向けた各企業や研究機関のイノベーション、設備投資に当社の価値が認められて業績が伸長している」と話す。
同社は極低温から超高温まで幅広い温度帯で製品・ソリューションを提供してきた。計測・制御・監視の製品を組み合わせた温度の「ループソリューション」をワンストップで提供できるのが強み。
豊田社長は「お客さまの潜在的な真(しん)のニーズに合致した提案ができるかが重要。取り巻く環境の変化のスピードが速い。当社もデータドリブンによるスピード経営を目指す」と説明する。情報を有効活用できる人材育成に注力し、営業戦略と開発戦略のコンカレント(同時並行)な取り組みを迅速化する。
半導体製造前工程での温度管理用途で需要が堅調だ。シリコン融液からインゴット(円柱状の単結晶の塊)を引き上げる際のビデオスコープ付き放射温度計などで採用が増えている。
水素関連では、燃料電池評価試験装置に1990年代から取り組み、豊富な納入実績を持つ。液体水素の計測製品を手がけるグループ会社の明陽電機とともに、サプライチェーン(供給網)全体に向けて強化していく。
クラウドサービス「チノークラウド」は、記録計のデータをクラウドで同期させ、スマートフォンやタブレットなどの端末による一元管理や遠隔監視が可能なソリューション。新たな市場の開拓に向けてビジネスプランの検討を進めていく。
計測・制御業界は脱炭素化の実現に合致した製品やソリューションを持つ。豊田社長は「他社との連携を取りやすいのでは。共創を踏まえ、当社の強みを向上させる」と説明する。
創立90周年を迎える26年を最終年度とする中期経営計画はフェーズ2「成長の加速」が進行中。豊田社長は「変化が激しい中で、社員には自分の役割をしっかり認識し『あるべき姿』に向かってもらいたい。それが当社の持続的な成長や企業価値の向上につながる」と展望した。