2025.01.16 【計測器総合特集】日本電計 森田幸哉社長
森田 社長
人的資本強化で量と質の成果へ
日本電計は2030年度を最終年度とする長期成長戦略(期間9年)を展開。戦略期間を3段階に分け、24年度からは第2段階として新中期経営計画がスタートした。前中計では人事制度や評価制度などの社内制度、組織体制を改革した。森田幸哉社長は「新中計では新たな制度や体制がさらに機能するように進化させる」と説明する。
同社のビジョンは「テクニカル商社への転身」であり、技術職の増強は課題の一つ。「技術を理解して機器を組み合わせたり、特注品を製作したりするなど、お客さまの要望をかなえる必要がある」と説明する。
24年度は当初から増収減益を想定。森田社長は「成長戦略に向けて一時的に減益しても人材を採用して教育し、人的資本を充実させる」と話す。
市場拡大の背景には▽ADAS(先進運転支援システム)▽IoT▽5G(第5世代移動通信システム)▽新エネルギー分野―などの技術発展がある。同社は顧客基盤が約1万3000社、仕入れ先が約5000社。両者を組み合わせれば、市場に変動があっても活況な分野に注力できるのが強みだ。
24年度上期は防衛産業向けが堅調。自動車関連ではADAS、EV(電気自動車)化における最先端の研究開発は引き続き活況で業績をけん引した。
新エネルギーでは二次電池の研究開発に加え、製造工程関連の取引も増加傾向にある。
海外市場では、中国企業の欧州進出をビジネスチャンスと捉える。同社は23年9月、独ミュンヘンに現地法人を設立して営業を開始。24年6月にはハンガリーに出店しており、欧州進出企業をフォローする。
社会貢献活動として、23年は福島県の農家とコメの作付けを実施し、収穫物は子ども食堂に寄付。24年は水稲栽培の中干し期間延長によりメタンガスを抑制するプロジェクトを開始。国がCO₂削減量を認証するJ-クレジット制度を活用し金銭的価値を農家に還元し循環する考えだ。
25年度は新中計の2年目であり、成長戦略の中間地点。森田社長は「人的資本強化における量と質の成果を出したい」と抱負を述べた。