2025.01.17 【情報通信総合特集】情報サービス トップに聞く 25年の見通し・経営戦略 MODE 上田学CEO
IoT、AIで価値創造
パートナーとの連携が鍵に
主力のクラウド型IoT基盤サービス「BizStack(ビズスタック)」は、デバイスや車両、ロボット、産業機器などのデータの収集から、蓄積、活用までトータルでIoTサービスを提供している。ビズスタックと生成AI(人工知能)を組み合わせたAI×IoTが定着してきた。建設や土木現場に本格的に生成AIを取り入れているケースはまだ少なく、強みを発揮できている。
ビズスタックに対話型生成AIを組み込んだ「ビズスタック・アシスタント」を昨年5月に正式リリースし、実装例が積み上がっている。
チャットで質問すると、ビズスタックに集積された大量のデータから、生成AIが利用者に必要な情報だけを抽出して、自然言語で回答してくれる。
強みであるIoTとAIを組み合わせたことで、スマートフォン一つで現場の状況を把握できるようになった。これまでは建設・土木業界が中心だったが、鉄道や道路など公共インフラにも広がってきている。
特に不動産やビル管理などファシリティー業界での活用に注力している。ビルなどの大型施設は多数のカメラやIoTセンサーで異常検知や状況把握が行われており、ビズスタック・アシスタントを使えば全て遠隔で管理できるようになる。トラブルが発生した場合でも、言葉で指示すればリアルタイムに現場の画像を映してくれるほか、機器の説明書も表示して現場をサポートしてくれる。
施設・設備系にとどまらず、製薬会社やデータセンター、倉庫などさまざまな業界で課題となっている人手不足の解消の切り札になると考えている。
鍵となるのが、パートナー企業との連携だ。セーフィー社のクラウド録画サービスや、ビジネスチャットを展開するL is B(エルイズビー)のツールなど、各社とのシステム連携をさらに強化していく。
センサーメーカーにデバイスを登録してもらい、導入したい企業とつなぐ「センサーパートナープログラム」も進めている。
パートナーとして約50社が参画し、導入したい現場の状況に合わせたIoT機器を提供できる体制も整ってきた。
日本と米国の2拠点で事業展開しているが、米国ではビルの省エネ化を支援するサービスが好評だ。米国政府の規制強化もあり、電気やエアコンを管理するシステムの需要が拡大している。
IoT機器から得られるデータを活用して新たな価値に結び付ける取り組みは今後さらに重要度が増していく。パートナーとの連携を深めながらさらに新機能を追加しつつ、データ活用を進化させていきたい。