2025.01.17 【情報通信総合特集】情報サービス トップに聞く 25年の見通し・経営戦略 OSK 橋倉浩社長

27年視野に新製品開発

全サービスをクラウド化へ

 2024年は、電子帳簿保存法改正とインボイス制度対応の特需があった一昨年の反動減があったため出だしは厳しかったものの、後半戦からはクラウドビジネスやウィンドウズ11への入れ替えが順調に伸び、売上高は過去最高を更新する見込みだ。

 主力の基幹業務システム製品「SMILE(スマイル)」シリーズを中堅・中小企業向けに特化したERPパッケージ「スマイルBS」のサポートが終了するため、更新のタイミングも重なった。ウィンドウズ11と同時提案も進めている。

 販売・会計・人事給与の基幹系システム「スマイルV2」と、ドキュメント管理を担う情報系システム「e Value(イーバリュー)V2」を組み合わせた「DX統合パッケージ」には、顧客情報を集約して営業を支援する「セールスマネジメント」機能を昨年3月に追加した。11月には、社外からスマートフォンで使いやすくするため名刺管理システムとの連携など営業活動と経理業務の自動化を加速する第2弾のバージョンアップを実施した。市場での要求を取り入れながら、継続して機能強化を図っていく。

 伸びているのがストックビジネスだ。ここから安定的に得られる利益を研究開発への投資に回している。

 急速に普及する生成AIを含むAI分野に対応するため、23年8月に研究開発推進課を立ち上げた。新製品の開発と、純粋な新技術の開発の2軸で取り組んでいる。25年は前年比約1・3倍の予算を充てる方針。

 受託事業では、アプリケーションを自動生成する開発ツール「GeneXus(ジェネクサス)」を活用したローコードビジネスや、ソースコード共有サービス「GitHub(ギットハブ)」の利用も堅調に推移している。

 25年は、新製品開発に向けた始動の年と位置づけ、「未来を創る、今ここから」をスローガンに掲げた。

 22年5月にリリースしたVシリーズは、27年にサービス刷新や新製品リリースのサイクルを迎える。これまでオンプレミス(社内運用)対応のみだったシステムも含め、全てのサービスをクラウド前提で設計するクラウドネーティブなプラットフォームに一新したい。25年、26年は現バージョンの機能強化をしながら研究開発を進める一番大事な時期になる。

 ウィンドウズアジュールのクラウド上にプラットフォームを構築するが、オンプレミスで利用する既存ユーザーにも引き続き使ってもらえるよう、同じプラットフォームをオンプレとクラウド両方で使えるよう開発を進めている。データの円滑な引き継ぎを含めてシステムの拡張性の鍵を握る重要な投資だ。