2025.01.17 【情報通信総合特集】情報サービス トップに聞く 25年の見通し・経営戦略 日立ソリューションズ・クリエイト 南章一社長

生成AI活用で手応え

顧客企業の課題解決へ展開

 国内のIT需要はDXの注目度が高く2桁成長している。当社は日立製作所と日立ソリューションズと連携して進めるSIと、独自に展開するソリューションサービスの2軸で事業を進めるが、いずれも順調に伸ばすことができた。2024年度は中期経営計画の最終年度になる。今中計は「ワークスタイルイノベーション」「モダナイズイノベーション」「セキュリティーイノベーション」「サプライチェーンイノベーション」「ペイメントイノベーション」の五つを重点事業として掲げ取り組んできた。各事業領域ともに成果が出始めてきている。

 情報システムをクラウドに移行する需要は旺盛で、SI事業はシステムのモダナイゼーション(近代化)案件が好調に推移した。ペイメントでは、昨年9月に電子タクシーチケットサービスを開始。紙のタクシーチケットの管理の煩雑さをなくすだけでなくペーパーレス化にも貢献できる。サステナブルを意識したサービスのため提案を強化する考えだ。

 セキュリティーは日立グループと連携を強化するとともに、当社の強みでもあるセキュリティートレーニングなどの上流コンサルティングを伸ばしながら下流まで総合的に支援していく。ワークスタイルの領域はHR(人財)ソリューションとして展開を加速。独自開発の「仮想オフィス」では、昨年4月から従業員のエンゲージメント(愛着心)を高められる「従業員エンゲージメント育みサービス」を始めた。日立グループを含め20件以上の引き合いがあり10件受注した。企業の要望を取り入れながら展開を強化したい。

 生成AI(人工知能)の活用も始めた。日立グループの共通基盤のほか、当社で使える独自基盤も用意し社内活用を本格化。社内で1000人以上が使っており利用数は拡大している。既に社内の18の間接業務でチャットボットを活用し効率化を図るとともに開発プロセスにも適用し検証を進めている。社内実践での手応えを感じているため、ノウハウを外販して顧客企業が抱える人財不足を支援したいと考えている。

 25年度は次期中期経営計画がスタートする。重点5事業に新たな領域を取り入れ、日立グループのデジタル基盤「ルマーダ」事業の成長に貢献していく。当社重点パートナーのCSパートナーとの連携を強化しソリューション展開を加速させる。日立ソリューションズグループで推進するSX(サステナビリティートランスフォーメーション)も強化する。昨年はサステナビリティーアイデアソンを実施。約300件のアイデアが発想され15件のアイデアが受賞した。事業活動の芽が出てきているため、この流れを止めずに進めていきたい。