2025.01.17 【情報通信総合特集】情報サービス トップに聞く 25年の見通し・経営戦略 日立ソリューションズ 山本二雄社長

SX活動が着実に浸透

新サービス創生施策を開始

 2024年度は持続可能な社会に貢献する「サステナビリティートランスフォーメーション(SX)」を掲げた中期経営計画の最終年度になる。足元までの事業は、注力しているセキュリティーをはじめ、自動車関連SIがけん引するとともに、独自のポイント管理も伸び計画以上で推移している。データドリブン経営の成果が出ており、通期では当社グループ初となる売り上げ4000億円超えも見えてきた。

 今中計で進めてきたSX活動は着実に浸透してきている。07年度から取り組む米ベンチャーキャピタルやスタートアップとの協業や海外の先端商材をいち早く日本市場に投入するリエゾン(橋渡し)活動はさらに範囲を広げていく。新事業の創出に向けてはスタートアップ創出制度で23年に米で最初のチームが新会社を設立。今年は米に加え、英ロンドンに人財を送り、欧州でも本格展開を始める。

 社員から募ったアイデアを事業化につなげるアイデアソンから生まれた「社内副業支援サービス」と「仕事と介護の両立」活動も始めた。社内副業は、社員が持つスキルを部門を問わずマッチングし業務の一部を委託できる仕掛けで、社内検証を進めている。仕事と介護の両立は介護への理解を促進できるよう支援するもので参加者からの評価も高い。今後も活動を活発にしていきたい。

 社員がチャレンジできる企業文化の醸成を目指し、国内でのサービス事業創生施策「IGNITE」を今年から始める。さまざまなアイデアを募集しても事業化に向けた具体的な支援の体制が整っていなかったため、うまく立ち上げられないといった課題もあった。IGNITEは新サービスを創生するために、組織から切り離し上流からサポートする仕組みになる。全社で事業化を支援し新ソリューションを作れる体制はできたとみている。

 生成AIの活用もさらに進める。生成AIを活用した社内業務の効率化に取り組むほか、展開しているソリューションへの適用も始めている。リスク管理やガバナンスにも積極的に取り組んでいる。さらに開発業務にも適用を始めた。下流工程で成果が出てきているため、上流工程へも拡大するほか全プロジェクトへの適用も検討していく。

 25年度は27年度を最終とする中期経営計画が始まる。現中計で築いた地盤を生かしながらSXの実行を加速させ、高い事業成長と収益性を両立させたい。日立グループで推進するデジタル基盤「ルマーダ」事業を拡大させるとともに、現場で働くフロントラインワーカーの支援を進めていく。新事業創生に向けてはリエゾン活動の体制を強化しながら国内での自社ソリューションサービスを確実に立ち上げる考えだ。