2025.01.17 【情報通信総合特集】情報サービス トップに聞く 25年の見通し・経営戦略 電通総研 岩本浩久社長
他社との差別化を図る
営業利益率・収益力アップ
ICT市場は、各企業ともデジタル人材不足などの課題を抱えながらも、生成AIの活用も含め、DXを加速するためのIT投資意欲は強い。こうした需要にどう対応するかが重要だ。当社は、2025年度から新中期経営計画(25~27年度)を推進する。市場が活況の中で他社との差別化をいかに図っていくかが、課せられた使命だ。
24年度は、対応力強化のため、優秀な人材の獲得に先行投資を行うなど、将来に向けて体制を固めた。先行投資もあり、業績は増収減益だが、ほぼ想定通りの進捗(しんちょく)となっている。
セグメント別では、製造ソリューションセグメントはシステムグランドデザイン、エンジニアリングを支援するコンサルティングや、PLMソリューションの販売が拡大し増収増益だった。これまで成長をけん引してきたビジネスソリューションは、人事・会計領域の複数の案件がピークアウトを迎えて端境期にあるが市場環境も悪くなく、さらに強化していく。
金融ソリューションは増収増益で推移している。各銀行も投資意欲は旺盛だ。当社独自の強い製品で、差別化を図っていく。コミュニケーションITは、SAPのマイグレーション案件などが活況だ。
新中計では「強みとなるケイパビリティーを強化・活用して企業などの活動を支援し、社会の進化を実装する」というスローガンを掲げている。定量目標(27年度)として売上高2100億円、営業利益率15.0%を目指す。同業他社と比べ特筆すべきは、営業利益率、収益力にある。ここに注力することが、差別化になり、次の成長、投資につながる。
具体的には七つの重点施策を進める。まず、営業統括本部と技術統括本部の二つの本部を新設し、営業機能の統括と技術機能の統括を行う。これまでの縦の壁を取り払い、ノウハウを共有することで、複雑化する企業課題に対応するアカウント営業の高度化、柔軟なアサインによる高難度・大規模案件への対応力を強化する。このほか、先端テクノロジーの活用、外部連携の推進、独自ソリューションの強化、経営基盤改革、人的リソース強化に取り組む。
当社の特長はシンクタンク、コンサルティング、システムインテグレーション(SI)の機能を持つこと、さらにSIの50%以上がソフトベースの事業であることだ。各機能を強化し、相互連携することで事業全体を伸ばしていくとともに、中長期的にソフトウエアメーカー&プロバイダーの事業比率を増やすことで、高成長・高収益を実現していく。
新中計の目標は「30年までに売上高3000億円」を狙える企業になること。25年の創立50周年を起点に、質的転換を図っていく。