2025.01.17 【情報通信総合特集】情報サービス トップに聞く 25年の見通し・経営戦略 内田洋行 大久保昇社長

現場とデジタルで支援

データ利活用の仕組み提供

 2024年7月から第17次中期経営計画がスタートした。27年度を最終とする新中計は、少子高齢化による労働人口の減少が本格化する27年以降を見据え、デジタル環境とリアル環境でのデータの利活用を加速させ働く場と学ぶ場の革新に取り組んでいく。

 第16次中計では「人」と「データ」の時代になることを掲げ働き方変革と学び方変革の支援を強化してきた。市場の変化に柔軟に対応できるよう15年から進めてきた社内とグループの再編も成果になりつつある。GIGAスクールやウィンドウズパソコンの更新といった特需がない中でも、当社の基盤となる事業(ベースライン)を伸ばせて24年度の売り上げは特需のあった21年度に近づくレベルまで押し上げられてきている。

 この一年は働く現場と学ぶ現場でデータを活用する動きが進んだ。働く現場ではクラウド型会議室予約運用管理サービス「スマートルームズ」の利用が拡大。場所や時間にとらわれず柔軟に働けるハイブリッドワークを実現する独自の「スマートオフィスナビゲーター」の実績も増えてきた。次世代のオフィス基盤になれるよう提案していく。

 データ活用を推進しているスマートインサイト社を吸収合併し、生成AIの時代に不可欠なデータ活用の仕組みを柔軟に提供できるようになった。大手自動車メーカーでも利活用が進み、今後は働く人が欲しいデータを取得し活用できるよう提案していきたい。中堅中小企業のデジタル化の支援も加速させる。基幹パッケージ「スーパーカクテルCoreシリーズ」最新版は、中堅中小企業の業務全般のデジタル化を実現できる。得意の食品業界や建築業界に向けた提案を進めていく。

 学ぶ現場では、自治体や教育機関との事例が増えてきた。学校と家庭と地域をつなぐ仕組みづくりも進み、昨年は横浜市の児童生徒26万人、教職員2万人が使う学習支援システムを構築した。学校と地域をつなぐ取り組みはほかの自治体にも展開したい。あわせて子会社化したルクセンブルクのオープン・アセスメント・テクノロジーズ社が持つCBT(コンピューターテスト)基盤も国内展開していく。

 新中計は27年度に売り上げ3400億円、営業利益115億円を目指す。25~26年にかけてGIGAスクールの更新や自治体のシステム標準化といった需要がピークを迎える。単なるシステム更新ではなく、データを利活用できる環境づくりに重点を置き展開していきたい。当社はオフィスや教育などの現場(リアル)のデータ活用とデジタルのデータ活用の双方を組み合わせて支援できる。前中計でグループ内外の体制を整えたため、整えた基盤を新中計期間中に最大限生かした展開を図っていく。