2025.01.17 【情報通信総合特集】情報サービス トップに聞く 25年の見通し・経営戦略 東芝情報システム 根本健社長
車載分野をさらに強化
独自開発の生成AIを活用
当社は、組み込みシステムのソフトウエア開発と半導体設計の専業会社として事業に取り組んでいる。
市場環境は、自動運転、先進運転支援、EV化、エンジン開発の継続など自動車関連が好調だ。また、防衛、建設機械、社会インフラなど産業分野も堅調に推移している。一方、半導体のメモリー分野は、回復が遅れている。こうした基調は、今年も続くと見ている。
当社の2024年度業績は、メモリー分野を車載、社会インフラでカバーし、過去最高水準だった23年度並みを維持する見通しだ。
事業方針としては、①エンジニアリングビジネスの維持拡大②新規ビジネスの開発やライセンスビジネスの強化、の二つに重点をおいて取り組む。
エンジニアリングビジネスでは、堅調な車載分野をさらに強化していく。優秀な人材の確保、育成のため、インターンシップの強化、大学と連携した女性エンジニア育成講座の開設、社内教育体系の拡充を推進している。これに合わせ、開発拠点の拡大を計画している。
新規商材の開発やライセンスビジネスでは、東芝グループの研究開発センターと共同開発した微小傷を可視化する技術を、昨年東芝テリーから「表面深傷スコープ」として販売開始した。幅広い用途が見込まれる技術であり、今後は、半導体検査装置メーカーなどへ拡大していく。
半導体開発などの検査工程で観測する波形の「自動判定ツール」では、半導体やディスプレー設計用ソフトウエアを開発するジーダットとライセンス契約を行った。また、東芝から事業移管を受けて、世界最小のBluetoothモジュールのライセンスビジネスも開始を予定している。
このほか、画像データから大量の教師データを自動作成し、短期間で提供する「自動アノテーションサービス」や、量子コンピューターに耐えうる暗号モジュールの販売などを新規事業として強化する。
当社は、研究開発費の半分近くをAI分野で占めている。AIの活用領域を拡大するとともに、独自開発の生成AIを活用し、開発プロセスや社内業務の改善などに取り組んでいる。こうして開発された商材や技術をベースとして、新しいビジネスモデルを構築すべくビジネスアイデアの社内公募を昨年から開始をした。毎回、予想を超える応募があり、新規ビジネスの拡大につながることを期待する。
当社の事業領域は、25年度も順調な推移が見込まれる。引き続きエンジニアリング事業の維持、強化、将来の成長に向けた新規事業などに積極的に取り組んでいく。