2025.01.17 【情報通信総合特集】情報サービス トップに聞く 25年の見通し・経営戦略 アドバンスト・メディア 鈴木清幸会長兼社長

AI音声認識を日常化

パーソナル化でビジネス拡大

 2024年はDXの促進や生成AI関連ビジネスが活況だった一方で、米巨大IT企業に売り上げの一部を上納する「デジタル小作人」の問題が顕在化された年だった。

 当社主力のコンタクトセンター事業では、SI(システム構築)を手掛ける販売パートナーと連携してAI音声認識ソリューション「AmiVoice Communication Suite」の導入が堅調で増収増益となった。

 大規模言語モデル(LLM)をローカル環境で安全に利用できる「AOI LLM」を市場投入したほか、生成AIを活用した音声対話アバター「AI Avatar AOI」を基盤にした茨城県公認Vチューバー茨ひよりをAI化した「AI茨ひより」が、水戸駅の「いばらき地酒バー水戸」で稼働を始めた。

 議事録事業では、ローカル環境で利用可能なスタンドアローン型のAI音声認識文字起こし支援アプリケーション「ScribeAssist」と、クラウド型文字起こしサービス「ProVoXT」を統合し、新たな議事録ソリューションの新プラットフォーム「VoXT One」を開発。議事録作成から要約までの一貫サービスも提供し、ユーザー数が増加している。

 医療関連事業では「医師の働き方改革」に伴い、医師や看護師の生産性向上へのニーズが高まり、主力製品であるAI音声入力ソフト「Ex7」シリーズやスマートフォンを利用する医療向けAI音声認識ワークシェアサービス「iNote」が好調に推移した。

 25年も生成AIが引き起こした第4次AIブームに乗って関連市場は活況とみており、当社のビジネスも27年前の創業時から指向してきたナチュラルコミュニケーションの社会実装に力強く踏み出す。

「AISH」を提唱

 生成AIの目覚ましい進化により、私たちが提唱する「AISH」(AI Super Humanization=アイッシュ)の幕が切って落とされた。AIとの自然対話により、AIが人を助け、人がAIを使って能力を高める時代が到来する。

 当社のビジネスもこれまでの高精度の領域特化音声認識エンジンに加え、これからは目的特化のパーソナライズAIでビジネス拡大を目指す。そのためには販売・開発パートナーとの連携の強化と、目的特化プラットフォーム化が鍵を握る。AmiVoiceを基盤に、企業の営業能力と販売効率化に向けたプラットフォームと、DX促進のためのサービスプラットフォームを市場投入し、コンピューターへの指令をキーボードではなく声で入力する仕組みを当たり前の日常として普及させたい。