2025.01.17 【情報通信総合特集】情報サービス トップに聞く 25年の見通し・経営戦略 NEC 堺和宏執行役CorporateSEVP兼Co-COO
業務DXがさらに深化
コンサルティング中心に伸ばす
2024年のITサービス市場は好調に推移した。大企業、公共とも古くなったシステムの更新とモダナイゼーション(最新化)が本格化し、成長をけん引した。
5月に立ち上げた新たな価値創造モデル「ブルーステラ」が良い成果につながった。それまで2年間はNECデジタルプラットフォームとして提供してきたクラウドやネットワークセキュリティー、データ活用基盤を体系化し、コンサルティング起点のビジネスを統合したサービスとして提供できるようになった。
DX人材の高度化に向けた長期教育や研修、リスキリング(再教育)にも力を入れている。事業ラインごとに人を育成して、事業に生かす従来のやり方から、グループ全体の人材を共通化して可視化し、人が足りない部門に必要とされる人材を集中的に配置する動きができるようになってきた。
データを蓄積して扱うビッグデータをAI(人工知能)で分析してDXにつなげる流れにつながる中で、生成AIで分かりやすい形になった。長年にわたってAI研究を続けてきた当社の強みを生かし、領域特化型のフレームワークをこの一年かけてビジネス化する努力をしてきた。
モダナイゼーションを終え、データ活用の準備ができた企業が生成AIを活用してさらに成長していくという成功モデルを広げていきたい。
宇宙・防衛領域は、国を支える根幹の防衛事業で国の予算増額といった大きな変化を受け、ビジネスの柱として乗せていけるようになった。防衛から生まれた技術が民間に広がる流れの中で、祖業であるネットワークを中心に、当社の技術力が強みを発揮できている。
一方で、高速通信規格5Gは投資が進まず不調だったが利益面は改善しており、市場環境に対応はできている。
25年のITサービスは、堅調に成長が続くだろう。モダナイゼーションやシステム更新は今後も継続して展開されることに加えて、DXがさらに深化するとみている。今後は、コンサル力が試されることになり、コンサルティングファームや中堅IT企業とも競合する比率が高まってくるだろう。
グループ会社のアビームコンサルティングは共通システム系で強みを発揮し、NEC本体としては金融や官公庁といった業種向けビジネスのコンサルを中心に伸ばしていきたい。
NECグループでネットワーク事業を担うNECネッツエスアイのTOB(株式公開買い付け)が成立した。首都圏中心にITサービス事業を担うNECネクサソリューションズとNEC本体を含め中堅・中小企業の地域戦略を効率化し、顧客に価値を提供していきたい。