2025.02.04 【コネクター特集】コネクターメーカー各社にアンケート 電波新聞社まとめ

 コネクターメーカー各社は、2025年もグローバルでの積極的な事業を展開する。25年度のコネクター市場は、不透明要素も多いが、国内・全世界ともに前年比で1桁台の成長が見込まれる。そうした中で、各社は自動車、産業機器などを中心とした高付加価値分野での事業拡大を目指す。BCPや地産地消ニーズを踏まえた社内体制拡充も進む見通し。アンケートは今年1月に主要コネクターメーカー対象に実施し、1月30日までに回答のあった17社で集計した。

全世界需要、最多は「10%未満の増」

2025年のコネクター需要予測

 25年の「国内」および「全世界」のコネクター需要予測を聞いた。

 「国内需要」では、回答12社中、最も多かったのは「10%未満の増」とした7社で、全体の約6割を占めた。次いで多かったのは「前年並み」の4社で、「減」としたのは1社にとどまった。

 「全世界需要」については、回答12社で最も多かったのは「10%未満の増」とした10社で、全体の8割強に達した。「2桁以上の増」を予測した企業はみられなかった。

 コネクターの全世界需要は、21年と22年は成長したが、23年は産機・民生市場の在庫調整などにより大きく需要が減少し、24年も小幅の増加にとどまる見通し。直近の受注もやや弱含みの状況が続いているが、年後半に向けての本格回復が期待されている。

25年度計画、「10%未満の増」が4社

コネクター部門の売上高見込み・計画

 各社のコネクター部門の売上高の24年度見込みと25年度計画を聞いた。

 24年度見込みは、回答13社中、最も多かったのは「10%未満の増」と答えた6社。「前年並み」が4社で続いた。全体では半数以上の企業が「増」と回答したが、「10%以上の減」とした企業もみられた。24年度は産業機器市場の調整局面が続き、産機向け売上比率の高いコネクターメーカーでは苦戦を強いられた企業もみられている。

 25年度計画では、回答11社で、最も多かったのは「10%未満の増」とした4社。「10~20%未満の増」と答えた企業も2社みられた。一方で、「減」と答えた企業も計3社あり、うち1社は「10~20%未満の減」と回答するなど、企業によってややばらつきがみられている。

1位自動車電装品、2位産業機器

25年度のコネクター部門の拡販重点製品分野

 25年度の拡販重点製品分野(国内+海外市場、複数回答)を聞いた。

 回答16社で、最も多かったのは「自動車電装品」の50ポイント。次が「産業機器(含むFA)の47ポイント。3位以下は、「通信・放送インフラ関連」「サーバー/データセンター関連」「医療機器/ヘルスケア」「携帯電話/スマホ」「環境・新エネルギー関連」の順となっている。

 自動車市場は、多くのコネクターメーカーが事業拡大のための最重要分野に位置付けている。CASEをメガトレンドとした自動車の技術進化や市場変革は、車1台当たりのコネクター搭載点数や付加価値を向上させていく。

 産業機器市場は、社会全体の自動化ニーズやスマート化ニーズの高まりにより、今後も中長期での継続的な成長が見込まれる。

 サーバー/データセンター市場は、生成AI(人工知能)の広がりにより、25年も高い成長が見込まれており、各社の期待が高まっている(集計方法=上位5分野を挙げてもらい、1位=5ポイント~5位=1ポイントとして集計)。

米国、中国、インド、ドイツの順

海外営業体制拡充

 「海外営業体制拡充を進める国や地域」の質問(複数回答)では、最も多かったのは、「米国」の46ポイント。2位は「中国」の36ポイントとなった。3位以下は、「インド」「ドイツ」「台湾」「タイ」「ベトナム」の順となっている。

 最近の業界では、米中摩擦が一段と激化し、さらに、米国のトランプ政権が今後打ち出すことが予想される新たな関税政策や対中貿易規制などによっては、グローバルサプライチェーンのデカップリングが一層進むことも懸念されているが、コネクターメーカー各社の米中の二大市場重視の姿勢に変化はない。加えて、将来の成長ポテンシャルが高いインド市場への関心も高まっている。

「生産拠点のグローバルでの分散化」

社内体制の見直し・強化

 地政学リスクやBCPなどを見据えた社内体制の見直し・強化の取り組みなどを聞いた(複数回答)。

 最も多かったのは、「生産拠点のグローバルでの分散化」と答えた9社。2位が「Webを活用した営業・プロモーション活動強化」。3番目は「国内生産強化」となっている。

 BCP対応や地産地消対応などのため、生産拠点のグローバルでの分散化のトレンドは今後も続く見通し。

「25年9月まで続く」が最多

産業機器市場の在庫調整解消時期見通し

 「産業機器市場の在庫調整局面はいつごろまで続くと考えているか」の質問では、回答13社で、企業によって見方が分かれた。最も多かったのは「25年9月まで」と答えた3社。

 一方で、「26年4月以降も続く」とした企業もみられた。計5社が「分からない」と回答した。それでも、全体では、半数以上の企業が、「年内の在庫調整局面終了」を予想している。

企業によって見方が分かれる

自動車市場の低迷解消時期見通し

 24年後半以降、市場がやや軟調に推移している自動車市場について、低迷解消時期の予測を聞いた。

 回答13社で、企業によって見方が分かれる結果となり、「25年3月まで」と回答した企業から、「26年4月以降も続く」とした企業まで、さまざまな回答が得られた。計6社が「分からない」と回答した。

業務への活用・準備は合計10社

自社業務へのAI活用

 自社の業務へのAI(人工知能)の活用状況や今後の計画を聞いた。

 「業務へのAI活用状況」では、回答15社で、「活用し始めている」と答えたのは6社。「活用準備を進めている」の回答も4社みられた。

 また、「AIを活用している業務分野」の質問では、 最も多かったのは「営業・マーケティング」だったが、「製造工程」「製品設計」「物流業務」を挙げた企業もみられた。

次世代自動車、ロボットの順

2030年に向けた注力分野

 「2030年に向けて注力していく分野」(複数回答)について聞いた(1位=5ポイント~5位=1ポイントで集計)。

 回答14社で、最も多かったのは「次世代自動車」の43ポイント。2位は「ロボット(産業用/非産業用)」。

 以下、「次世代通信インフラ」「サーバー/データセンター関連」「次世代携帯端末」の順となっている。

 全体として、車載・産機関連分野を中長期の事業拡大に向けた注力分野に掲げている企業が多い。

アンケート回答企業一覧

 ▽I-PEX▽イリソ電子工業▽SMK▽オータックス▽京セラ▽ケル▽小峰無線電機▽TE Connectivity▽七星科学研究所▽日本航空電子工業▽日本端子▽ハーティング▽ヒロセ電機▽ホシデン▽ミネベアミツミ▽山一電機▽ヨコオ。(17社/五十音順)