2025.02.04 【コネクター特集】製品別動向

車載FPCコネクター

高速伝送対応品の開発が活発化

車載用コネクター

 コネクター各社は、自動車の技術進化に向け、高速伝送・高周波対応や小型・軽量化、高耐熱、高信頼性、大電流対応などの車載用コネクター開発を強化している。

 特に最近は、自動車アーキテクチャーの変化に対応し、統合ECUなどに照準を合わせた高速伝送対応コネクターの開発が活発になっており、25ギガbps対応などの製品開発が進んでいる。車載カメラ用は、100万画素デジタルセンシングカメラ用コネクターの小型・薄型化が追求される。LiDAR(ライダー)やミリ波レーダー用コネクターも一層の小型化が進展している。

 電動車用では、インバーターやモーター、バッテリー周りに使用される大電流/高耐圧対応の開発が活発で、定格電圧850V対応品などが開発されている。

 EV(電気自動車)急速充電規格は、日本のCHAdeMO(チャデモ規格)のほか、欧州CCS、北米CCS、中国GB/T、北米NACSなど乱立しており、EV充電用コネクターメーカーでは全方位的な製品展開を図る企業が多い。

 エンジンルームなどの耐熱用途では、125/150度対応などの高耐熱製品開発が重視されている。

 EVでは、1充電当たりの航続距離向上が重要。このため、EV用ハーネスは小型・軽量化要求が強く、ワイヤハーネスからアルミハーネスへの代替やFPC配線への代替による軽量化提案が活発化している。

小型・薄型化の要求、一層強まる

AI端末用コネクター

小型ICT機器向けの0.3ミリピッチ・奥行き寸法1.73ミリメートルの基板対基板コネクター

 コネクター各社は、スマートフォンやタブレット、ウエアラブル機器などに照準を合わせた小型・高性能製品開発に力を入れている。

 最近は、AI(人工知能)スマホやAIパソコンなど、端末のエッジAI端末化による付加価値向上が予想される。端末の高機能化は接続ポイント数を増大させ、内部の高密度化も一段と進むため、内装コネクターへの小型・薄型化要求は一層強まっている。電流容量増大への対応やノイズ対策、インターフェース系では防水ニーズも強い。各社はこれらを踏まえ、次世代端末向けの内装用やインターフェース用製品の開発を活発化させている。

 内部接続用では、基板対基板/FPC接続用コネクターの一層の小型・低背化・省スペース化が進む。基板対基板用は0.35ミリピッチ品のバリエーション拡充が進み、嵌合(かんごう)高さ0.5ミリメートルの超低背コネクターなどの開発が進展。0.3ミリピッチ基板対基板用の需要も増大している。

 高級スマホは、バッテリーの大容量化でバッテリー以外の搭載部品への小型化要求は一層厳しさを増している。各社は、基板対基板コネクターの狭ピッチ・低背・省スペース化を追求しつつ、接触信頼性、機械強度、作業性などを兼ね備えた設計に全力を挙げる。

 インターフェース用では、急速充電規格への対応や、USB4(最大データ転送速度40ギガbps)/USB4バージョン2.0(同80ギガbps)などの高速通信規格に対応した製品開発が進む。

小型・堅牢・高寿命・高速通信対応

産業機器用コネクター

OPS規格対応基板対基板コネクター

 産業機器用コネクターは、FA機器や工作機械、半導体製造装置、産業用ロボット、5G基地局、サーバー/データセンター、4K/8K画像システム、監視カメラなどに対応する新製品開発が進んでいる。

 特に最近は、AIサーバー向けの技術開発が活発で、112ギガbpsや224ギガbpsなどに対応する高周波・高速伝送対応コネクターやケーブルアセンブリー開発にしのぎを削っている。

 製造装置や工作機械、ロボット用のインターフェースコネクターは、マシンの小型・高性能化に対応するため、小型・堅ろう・長寿命・高速通信対応などが重視される。機器内部の省配線化への提案や現場作業性を改善するための提案にも力が注がれる。

 産機用丸型コネクターは、ワンタッチロック嵌合方式の防水丸型タイプなどの提案が進む。嵌合操作性に優れ、経年変化によるねじ緩みも解消されるため、信頼性やメンテナンス性向上に貢献する。電源コネクターは、200A/250Aなどの大電流対応や、従来品と同等の電気容量で小型化した製品開発などが進む。

 産機向けフローティングコネクター開発も活発。高速シリアル信号伝送対応の0.5ミリピッチフローティングコネクターや、狭ピッチを追求した0.4ミリピッチ品などが開発され、多様な取り付けへの対応や極数展開が進む。