2025.02.13 EVと蓄電池に同時充電 ニチコン、家庭用蓄電システムの新型発売へ 系統電力を使用しない設定も
新製品のそばに立つ森社長
ニチコンは13日、太陽光発電と蓄電池、電気自動車(EV)のエネルギーを制御する家庭用蓄電システムのフラッグシップモデルを、今年秋に発売すると発表した。蓄電池とEVに同時充電ができ、9.9kWの高出力パワーコンディショナー(パワコン)から高速でEVを充電可能。系統電力を使用しない設定もできる。2026年3月期までにパワコンと蓄電池で2万台の販売を掲げる。
新製品「ESS-T5/T6シリーズ」は、トライブリッド蓄電システムの第3世代モデル。パワコン、蓄電池ユニット、増設蓄電池ユニット、EVの電池を家庭でも使えるようにする「V2H」スタンド、V2Hポッド、室内リモコンで構成する。ハウスメーカーなどさまざまなルートでの販売を予定する。
太陽光で発電した電力を蓄電池とEV電池で最大限活用し、電気代の最小化を目指すシステムで、全て直流でコントロールする。昼間は太陽光発電を蓄電池とEVに充電し、夜間や天候が悪い日などは蓄電池とEV電池に貯めておいた電力を自家消費できる。
太陽光発電による余剰電力は蓄電池とEV電池に同時に充電でき、9.9kWの高出力で家庭でも使える。蓄電池に貯めた電力をEVに移動できる。太陽光発電と蓄電池、系統電力を使い、最大9.9kWでEVへの急速充電も可能だ。
家全体の電力を賄える全負荷の200V対応のため、停電時でも蓄電池とEVに貯めた電力でエアコンなども動かせる。在宅避難も選択肢に入れられる環境づくりができる。
NECST事業本部エネルギーソリューショングループ蓄電システムビジネスユニット長の戸成秀道氏は「自宅の太陽光発電を自家消費するニーズは増えている」と語る。
エネルギーソリューション事業に取り組むNECST事業本部を13年に立ち上げ、家庭用蓄電システムなどを開発してきた。コンデンサー事業とエネルギーソリューション事業の売り上げを半々にすることを目指す。
執行役員でNECST事業本部の桃井恒浩本部長は「急速充電器も手掛けていて、車メーカー側との連携も早く対応できている」とし、V2Hなどに先駆けて取り組んできたニチコンの強みを語る。
森克彦社長は「これからの明るい社会に向けてニチコンの持つ製品や技術で環境負荷低減、エネルギーの効率化、災害のレジリエンス強化で、さらなる貢献を目指す」とした。
日本は、2050年のカーボンニュートラル(脱炭素)を掲げており、東京都など新築の戸建て住宅に太陽光発電設置を義務化する制度を始めようとしている自治体もある。