2025.03.05 12月期決算の電子部品メーカー マブチが営業益4割増、2社は黒字転換

12月期決算の電子部品各社の業績

 12月期(1~12月)決算の電子部品メーカー各社は、2025年度も着実な業績拡大を計画している。産業機器関連やEV(電気自動車)向け部品市場の低迷を受け、上期は慎重な予想が目立つものの、年央以降の本格回復が期待されている。特にADAS(先進運転支援システム)関連やAI(人工知能)関連市場での事業拡大が成長の鍵を握る。

 23年度は中国経済の停滞や顧客在庫調整の長期化により、車載以外の市場が低迷し、多くの企業が業績予想の下方修正を余儀なくされた。一方、24年度はノートパソコン(PC)や中華系スマートフォン向け需要の回復、データセンター市場の拡大を受け、増収・営業増益を達成する企業が増えた。車載分野では、BEV(バッテリー式電気自動車)市場が低迷したものの、ADASやHEV(ハイブリッド車)向け需要は堅調だった。

 マブチモーターは、売上高が前年度比9.8%増、営業利益が同39.3%増と好調。自動車電装機器向けの中型・小型モーターが堅調に推移し、ライフ・インダストリー機器市場向けも2桁の増収を達成した。

 I-PEXは前年度比約1割の増収、営業損益は黒字に転換した。ノートPC用コネクターやデータセンター向けHDD(ハードディスクドライブ)部品の需要増が寄与した。

 NISSHAは売上が前年度比16.6%増、営業損益も黒字転換し、タブレットや業務用端末向けのフィルムタッチセンサー需要の回復が奏功した。

 25年度の事業計画では、各社とも上期は慎重な見通しを立てつつ、通期では増収・営業増益を計画する。ADAS関連部品やHEV向けの需要は引き続き堅調で、AIサーバー・データセンター関連市場も好調が見込まれる。Windows 10のサポート終了に伴うノートPC需要の増加や、エッジAI端末向け部品市場の活性化も期待されている。

 一方で、25年は米国トランプ政権の貿易政策による影響も懸念される。特に自動車業界では関税引き上げがサプライチェーンに及ぼす影響が注視されている。このため、各社は市場動向を見極めながら、成長市場へのシフトや新規事業創出を進め、業績拡大を目指す方針だ。