2025.03.19 【日系電子部品メーカー・商社 中国台湾拠点特集】開陸連接器(珠海)有限公司 ケル 新工場設立で製品を現地生産化
國藤 部長
ケルは中国・珠海市(広東省)に新たな生産拠点を設立する。中国ローカル顧客の地産地消ニーズに対応し、中国でのコネクタービジネス拡大を目指す。
設立する新会社(特定子会社)の社名は「開陸連接器(珠海)有限公司」。資本金は約5億円(ケル全額出資)。2025年3月の設立を予定している。工場規模は敷地面積540平方メートル、延べ床面積1080平方メートル。生産品目は車載向けのフローティングコネクターや画像機器向けの細線同軸用コネクターなど。従業員数は9人程度を予定する。
ケルの國藤博康グローバルビジネス戦略室部長は「中国市場向け製品の現地生産・販売による事業拡大を目指している。新工場ではコネクターの自動機生産により、少人数でのオペレーションを行う。これまで日本で生産していた製品を現地生産化することで、リードタイム短縮やコストダウンを図っていく」と話す。
新工場では4月以降に生産設備を順次導入し、6月ごろからの稼働を予定。製造する製品の仕向け地は大半が中国国内で、中国ローカル顧客向けに供給する。コネクター用のプレス部品や成形品、めっき工程などは現地の協力会社と協力し、新工場ではコネクター組み立てや最終検査を中心に展開して少人数での工場運営とする。
國藤部長は「中国市場では、顧客の急激な立ち上げや急減速など変化のスピードが速いため、われわれもリードタイムを1カ月以内にする必要があり、1カ月以内の受注生産を目標としている。製品面では、高速伝送対応や高信頼性などによる差別化提案に努める」と説明する。
今後、自動機の設置を順次進めるとともに、IATF16949認証をはじめとする各種認証取得を推進する。当面は車載市場向け製品などを中心とした生産を行うが、将来的には中国市場の成長に合わせ、インフラ関係や工業機器、医療機器などのマーケットの開拓にも取り組む方針。受注状況に応じて中国での第2工場建設なども検討する。
同社グループの中国法人はこのほか、販売拠点の「ケル上海」(上海市)と「ケル香港」があり、開陸連接器(珠海)は3番目の法人。同社が中国国内に自社工場を設立するのは初めて。