2025.03.28 AIとロボットの融合の促進へ 推進団体が来年度から基盤づくりを本格化

尾形理事長

エコシステムのイメージ 出所:AIRoAエコシステムのイメージ 出所:AIRoA

 AI(人工知能)とロボット技術が融合する社会を支える基盤「ロボットデータエコシステム」の構築を目指すAIロボット協会(AIRoA、東京都文京区)は27日、来年度から活動を本格化させると発表した。AIロボットに関わる国内外の企業や研究者を巻き込むエコシステムを形成し、日本産業の国際競争力の向上につなげたい考えだ。

 同協会は、AIとロボット技術の融合を通じて「ロボットがより多くの分野で活躍する社会」を実現しようと昨年12月に設立された団体で、トヨタ自動車やNEC、富士通など20社超が加盟した。同日には東京都内で設立発表会を開き、今後の活動方針を示した。

 まずは25年度を「初期開発段階」と位置付け、AIによる学習に必要なデータセットの構築を進めるとともに、それを基にロボット基盤モデルの開発に注力する。26年度以降には開発したモデルの改良や社会実装を進め、さらに30年度以降にAIロボット開発者コミュニティーの活性化を目指す。

 当面の開発では、移動できるロボットに機械アームを組み合わせた「モバイルマニピュレーター」を主に活用し、家庭や店舗などの場所でデータを収集。そこで集めた情報をAIに学習させ、ロボットの制御に役立てることを計画している。

 開発したデータセットやモデルは、国内外に公開。誰もがアクセスできる「ロボットデータエコシステム」を構築することも狙う。

 エコシステムを稼働させることで、データの蓄積やモデルの性能向上を促し、高度な汎用ロボットの実現が可能だ。中長期的には、医療や建設などが抱える課題の解決に役立つロボットの導入を後押ししたい考えだ。

 同協会の尾形哲也理事長は冒頭のあいさつで進化するAIの活用形態に触れ、「基盤モデルというキーワードの中で1つのAIが多様な仕事をこなすという形態が主流になってきた」と強調。その上で、「日本はロボットの経験値が多く、集められるデータの可能性も大きい。データを収集していくシステムづくりをモデル構築とともに進めていく」と意欲を示した。

 AIロボットは、実世界の運動に伴い発生する多様な情報を学習した「AI基盤モデル」によって制御されるロボット。近年、AIの進化を背景にロボット分野でも、大規模なデータの統合や効率的な学習を実現できる基盤モデルの必要性が増していた。

 世界最大級の実世界データセットを用いたロボット基盤モデルの構築を競うコンペを開き、基盤モデル開発を推進することも計画している。