2025.03.31 ディスプレー新工場、中国広東省で稼働 BOE

世界初となる6インチマイクロLED工場(出所:イノベーターワン)

BOEのマイクロLED工場(出所:イノベータ―ワン)BOEのマイクロLED工場(出所:イノベータ―ワン)

式典で登壇スピーチを行うイノベーターワンの久保島社長(出所:イノベーターワン)式典で登壇スピーチを行うイノベーターワンの久保島社長(出所:イノベーターワン)

 中国ディスプレー大手の京東方科技集団(BOE)が、広東省珠海市に新たなディスプレーパネル工場を開設した。生産するのは、次世代ディスプレーとして注目されるミニLEDとマイクロLEDを使用したパネル。液晶や有機EL(OLED)と合わせて成長分野に位置づけ、「MLED事業」として世界市場での競争力をさらに高める狙いだ。

 新工場の敷地面積は4万平方メートルで、月産能力はCOB(チップ・オン・ボード)基板換算で2万平方メートル。BOE独自のCOB技術により、RGBチップを基板に直接実装し、耐久性と高精細化につなげている。生産設備の自動化率は95%を超え、サプライチェーンの最適化によるコスト削減と品質向上を図っている。

 3月10日に開催された開所式には、世界各国から数百名が参加。日本の独占販売代理店であるイノベーターワンの久保島力社長も招待され、スピーチを行った。

 ミニLEDは直径100~200マイクロメートル、マイクロLEDは100マイクロメートル以下の極小LED素子。従来の液晶ディスプレーよりも光を細かく制御でき、「黒」の表現力に優れる。高精細テレビやAR(拡張現実)/VR(仮想現実)、ウェアラブル機器などで需要が拡大している。

 BOEは2023年、約2200億円を投じてLEDチップを手掛けるHC Semitekに出資し、筆頭株主となった。その後、6インチマイクロLEDウエハーの工場を建設し、24年に稼働を開始。生産能力は、マイクロLEDピクセルモジュールで月産25億ピクセルユニットに達し、無人搬送車(AGV)を活用した自動化も導入している。

 BOEの動きにより、中国・珠海でマイクロLEDディスプレーのサプライチェーンが強化された。ディスプレー市場で中国勢の存在感がさらに高まっている。

<執筆・構成=半導体ナビ