2025.04.02 顧客対応支援のモビルス 初の入社式で生成AI活用の研修
入社式の様子
生成AI(人工知能)が急速に広がる中、入社式にAIを用いた研修を取り入れる企業が現れた。顧客の問い合わせに対応するコンタクトセンターの業務支援システムを手掛けるモビルスだ。初めて新卒社員の門出を祝うイベントを開いた同社に迫った。
「買って1カ月しか経っていない加湿器から水が漏れた」。クレームをつける消費者役の先輩社員が電話で、そんな不満を強い口調で伝えた。1日に東京都港区の本社で行われた新人研修の一幕だ。
この日は新たに入社した3人が、コンタクトセンターの業務を体験する研修に参加。クレーム客からの電話に対応した。
そこで威力を発揮したのが、オペレーターによる応対業務の負担を軽減できるようにするオペレーション支援AIの「MooA(ムーア)」だ。
具体的には、通話中にスーパーバイザーへの引き継ぎサマリー(まとめ)の作成や通話の文字起しなどを実施。応対が終わると、顧客体験価値を表す「CX(カスタマーエクスペリエンス)」の満足度やレギュレーション(規制)などの観点からオペレーターの対応を評価する。
定量的に顧客対応を把握することで、基準の設定が難しい迷惑行為のカスタマー・ハラスメントの判定を実現するとともに、CXの向上を後押しするという。
研修に参加した新入社員の関口由登さんは「自分たちに向けられている期待を感じた」とした上で、「期待に応えられるように来年の新入社員の手本となるように頑張りたい」と意気込みを話した。
ほかの2人も感想を披露。男性社員は「自由を尊重してくれる会社だった。変化に対応しながら、顧客に求められるものを提供していきたい」と決意を表明。女性社員も「もっと使いやすくなると思った」と、顧客目線のサービスづくりにどん欲な姿勢を示した。
生成AIの活用が進む市場の変革期の真っ只中に開いた入社式。石井智宏社長は、研修後に生成AIの最新トレンドに触れ、「24年はとりあえず使ってみたという単発の利用が多かったが、25年は実際に使える部分が分かってくる『現実的な運用が始まる年』になる」と予測。生成AIを駆使して企業のCX戦略を後押しする動きが進むとの見方も示した。
2011年設立の同社が新卒社員を迎え入れるのは初めて。石井社長は「新卒から3~5年というキャリア形成の大切な時期をともに歩めるのはとてもうれしい。チャレンジをサポートし、キャリア形成を支援していきたい」とエールを送った。
そんな期待を背に船出した新入社員たちからは、「すべてのビジネスに、一歩先行くCXを。」という全社のミッションに挑みたいという意欲がにじみ出ていた。