2025.04.08 投資前の調査・分析を効率化 AI開発のメタリアルが「М&A向け新サービス」

MetarealDDの画面

7日に開かれたサービスの体験会では、米倉CTOが遠隔で質疑応答に参加した7日に開かれたサービスの体験会では、米倉CTOが遠隔で質疑応答に参加した

 業種に特化した専門AI(人工知能)の開発や運用を手掛けるメタリアルは、特定の取引や投資を行う前に対象の企業や資産を詳しく調査・分析するサービス「Metarealデューデリジェンス(Metareal DD)」の提供を始めた。有望な新規事業やスタートアップに投資する機運が高まる中、協業先の発掘や出資に向けた検討の業務を後押しする。

 3月に発表した新サービスは、高性能なLLM(大規模言語モデル)やAIが自律的に作業するAIエージェントを活用することが特徴。М&A(合併・買収)の専門家や投資銀行などを対象に提供する。

 ウェブブラウザーでアクセス可能なサービスで、スマートフォンやタブレットでも利用できる。料金は、ユーザーあたり月額5万円。

 具体的には、「デューデリジェンス(DD)」という詳細な調査・分析プロセスを約2分に短縮化。約50枚の多角的なレポートを即座に出力するとともに、出資の検討に関わる業務をサポートする。複数のAIモデルで幅広い視点を取り込めることも売りだ。    

 さらに最新の生成AIを最大限活用することで、2週間から2カ月かかっていたDD資料第1稿の作成を1〜2.5分で完了できる。また、100を超えるデータポイントを瞬時に解析することも可能。東洋経済新報社と共同開発した「四季報AI」とのデータ連携も実現できるという。

 東京都内で開いた体験会でメタリアル・グループの米倉豪志CTO(最高技術責任者)は、「人間が行うと数週間から数カ月かかる作業には開始にエネルギーを使う。その第1歩を担わせることによって、人間の作業を早める狙いがある」と述べた。

 今後は、関連業界の著名人やM&A担当者との連携を強化し機能を拡張する予定。AIによるリスク評価機能の追加や行政・金融業界団体との協調による業界基準の策定にも取り組みたい考えだ。新サービスを通じ、業界全体の新たなスタンダードの創出を目指す。