2025.04.10 「服で減点されない世界」 AI活用でサービス向上 飯野健太郎CEOに聞く㊦
飯野CEO
服のコーディネートを気にする人からの需要を的確に汲み取り、ファッション相談アプリとして満を持して商用化したcoordimate(コーディメイト)。飯野健太郎代表取締役CEOは、より使い勝手を高めようとAI(人工知能)による診断機能も採用した。後編では、進化する同社の事業戦略を深掘りする。
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―昨年5月に、相談者が投稿したコーディネート写真をAIが分析する診断機能をアプリに追加しました。AIに着目した狙いを教えてください。
飯野CEO AIに目をつけたのはユーザーを対象としたインタビューで、「いきなり人に自分の写真を送って服の相談をするのはハードルが高い」という声をよく拾っていたからだ。AIに尋ねた後に人間に聞くという流れが相談しやすいと思った。
―アプリへの投稿者がファッション選びで気にすることは。
飯野CEO 投稿者が聞きたいのは「この服はありかなしか」「ダサいかダサくないか」という点だ。その判定にAIを生かすと、アプリがより使いやすくなると考えた。例えば、「かっこいい」は主観のため、定義が難しい。「ダサい」については、小説家・平野啓一郎氏の著作『「カッコいい」とは何か』(講談社現代新書)で「普通からの逸脱」と定義されており、それを参考にした。
―アプリ需要の開拓に向けた手応えは。
飯野CEO 一連の検証を経て、コーディメイトのサービスは、人が集まるコンセプトを打ち出して必要な仕組みをアプリに搭載すれば上手くいくという確信が得られた。
商用化前のアプリは、1カ月で達成する利用数やアクセス数の目標を掲げたが、2週間で当初目標に達し、最終的に倍に上る実績を残すことができた。まさに、アプリで服選びについて相談する需要があることを証明できた。
―今後の展望について聞かせてください。
飯野CEO 人間に直接相談することに抵抗を感じるユーザーも多い。そこで蓄積した相談のデータを利用し、AIのアドバイス役「mate(メイト)」を作りたい。場面によって異なる服選びを後押ししていく。他のアプリと連携してさまざまな場面に対応する展開も検討している。服選びであらかじめ失敗できるアプリという場所をさらに進化させ、「服で減点されない世界」の実現を目指す。
(おわり)