2025.05.02 電子材料各社、成長領域への投資戦略強化 国内外で生産能力を増強
日本ゼオンが大画面液晶テレビ用位相差フィルム生産設備を増設する氷見二上工場
電子材料メーカー各社は中期経営計画や長期ビジョンの中で積極的な売上高・利益の拡大を計画。直近の市場は、米トランプ政権が打ち出す追加関税政策などによって先行きの経済環境の不透明感が増しているが、各社は重点ターゲット領域に向けた生産能力増強投資に積極的に取り組む。
中国とフランスで新生産ライン増設
三菱ケミカルは4月、中国およびフランスで難燃性コンパウンドの生産能力を増強すると発表した。同社の難燃性コンパウンドは、ケーブル被覆材として自動車用ケーブル、太陽光発電システム用ケーブル、スパッターチューブなどの用途に採用されている。中国や欧州を中心に需要が拡大していることから、中国工場「三菱化学功能塑料有限公司」(蘇州市)とフランス工場「MCPP France SAS」(ティフォージュ)で新生産ラインを増設する。新ラインは中国では既に4月から稼働。フランス工場は2026年1月の稼働を予定している。
日本ゼオンも4月、大画面液晶テレビ用位相差フィルムの生産能力を増強すると発表した。氷見二上工場(富山県氷見市)に、世界最大級の3000ミリメートル幅の新ラインを増設し、加速する液晶テレビの大型化ニーズに応えられる製品供給能力を整える。12月に着工し、27年夏の量産開始を目指す。
同社の光学フィルム「ZeonorFilm(ゼオノアフィルム)」は、独自のポリマー設計技術で開発した熱... (つづく)