2025.06.24 「日本のアプローチに感銘」 インテル前CEOがラピダスを評価
「次世代コンピューティングには大胆なエコシステムが必要」と語るゲルシンガー氏
米インテルの前CEO、パット・ゲルシンガー氏が24日、東京都内で開いた記者会見に登壇し、ラピダスへの政府支援に象徴される大規模な産学官連携が進む日本の半導体業界に触れ、「日本のアプローチに感銘を受けている」と発言した。日米が協力し、この分野の連携を促す「エコシステム」を形成する必要性も唱えた。
ゲルシンガー氏は現在、米ベンチャー・キャピタル(VC)のプレイグラウンド・グローバルでゼネラルパートナーを務めている。その事業説明会のため今回、同社の共同創業者であるピーター・バレット氏らとともに来日した。
同社は12億ドルの資産を運用するディープテックに特化したVCで、ゲルシンガー氏をはじめエンジニアがゼネラルパートナーを務めることが特徴。半導体関連分野でも、超電導コンピューティングやEUV(極端紫外線)光源、光電融合、量子コンピューティングなどを手掛けるスタートアップを支援している。
ゲルシンガー氏は「最先端の半導体製造はチャレンジング」と回路線幅2ナノメートルのチップ量産を目指すラピダスのプロジェクトを評価。そのうえで、世界トップのファウンドリ―であるTSMC(台湾積体電路製造)を追うラピダスに対して、「根本的な差別化技術が必要」と注文を付けた。
さらに「米国と日本が連携し決定したことは世界全体の決定になる」と語るなど、半導体分野で果たす日本の役割を重視する姿勢を強調。プレイグラウンドが紹介した企業などと協力し、半導体のエコシステムを日本に構築する展開にも期待感を示した。
エコシステム形成に寄与する先進企業も紹介した。その1社が、同日にプレイグラウンドによる2300万ドル(約36億円)の出資を発表した米スタートアップ「Snowcap Compute」。同社は、世界初の商用超伝導コンピューティングプラットフォームを開発している。他にも、光通信モジュールを半導体パッケージ内に組み込むコパッケージド・オプティクスを手掛ける「Ayar Labs」や、次世代のEUV光源を構築する「xLight」のCEOらが登壇し、各社の技術をアピールした。