2025.10.17 富士通、インド理科大学院と共同研究を開始 先端AIで社会課題解決を加速

 富士通は、インド理科大学院(IISc)と、反応拡散系シミュレーションを高速化するソフトウエア技術に関する共同研究を開始した。新素材開発やエネルギー需給モデルなど幅広い応用分野を視野に入れる。


 研究では、自然科学・工学分野で広く用いられる反応拡散系モデルを、従来の偏微分方程式による解析ではなく、グラフネットワーク上で扱うアルゴリズムを新たに考案・検証。複雑な現実世界の現象を実用的時間で処理できるようにするのが狙い。


 富士通が次世代ArmベースCPU「FUJITSU-MONAKA」シリーズで目指す省電力・高性能化を生かし、この新たなアルゴリズムを効率的に動作させるソフトウエアの実装にも取り組む。2030年度までに反応拡散系シミュレーションの高速化と電力効率の向上を目指す。


 IIScは基礎理論研究やアルゴリズム設計に注力し、富士通は研究成果をソフトウエアフレームワークとして実装・テストし、最終的には産業界でも普及可能な形に仕上げる。電力需要予測のリアルタイム化や、再生可能エネルギーの最大活用による二酸化炭素排出削減といった応用が見込まれるという。