2025.12.09 ヒューマノイドからフィジカルAIまで、国際ロボット展で未来像を示す

山善の検査&運搬ソリューション

パナソニックのメーカーを横断できるロボット制御プラットフォーム「Robo Sync」パナソニックのメーカーを横断できるロボット制御プラットフォーム「Robo Sync」

ファナックは言葉でロボットに指示を送るデモを行ったファナックは言葉でロボットに指示を送るデモを行った

 世界最大級のロボット専門展「2025国際ロボット展」が12月3日から6日までの4日間、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれた。日本ロボット工業会と日刊工業新聞社の主催で開かれる見本市で、26回目となる今回は「ロボティクスがもたらす持続可能な社会」をテーマに開催し、過去最多の673社・団体が出展。人工知能(AI)とロボットの融合が進む未来を占う舞台となった。

 山善は、「YAMAZENで変わる!『これから』と『今』の現場」をテーマに、ブースを「今」コーナーと「これから」コーナーに分けて展示。今のコーナーの見どころは「検査&運搬ソリューション」で、検査自動化パッケージや、協働ロボットと無人搬送車(AGV)のアイドルタイム(待機時間)削減などを紹介した。協働ロボットをAGVが所定の位置に動かしたあと、AGVは別の作業をすることでより効率的な運用を実現できるソリューションとなっている。

 これからのゾーンでは、人間に似たロボット「ヒューマノイド」を中心に展示。自律型のロボットと、AMR(自律走行搬送ロボット)とのセットで工場物流の自動化を提案した。

 パナソニックグループは、「Augment Possibility with Robotics(制約を超え、くらしを広げる)」をキャッチフレーズに、産業から家庭向けまで幅広く製品や技術を出展した。10月に提供を始めたロボット制御プラットフォーム「Robo Sync(ロボシンク)」は、さまざまな異なるメーカーのロボットを一つのプログラムで制御できる。テンプレートの通りに動かしたり、ノーコードでロボットの動作シナリオを作ったりできる。これに合わせて、協働ロボット導入による自動化効果のシミュレーションを行うことができる「ロボット導入プランナー」の先行評価版も提供している。

 コミュニケーションロボットの「cocoropa」は、人の間に介在してコミュニケーションを支援する。離れて暮らす家族などを想定し、2台セットで使用する。頭をなでると両方のロボットの腕が上がり、一方のロボットの姿勢が変わると、もう一方も同じ姿勢になる。こうした仕組みを検証する実証実験では、「相手と一緒にいる感覚」を生み出すことが分かったという。

 産業用ロボット大手の一角を担うファナックは会場で、ロボットや機械を自律的に制御する「フィジカルAI」などの先端技術が生み出す可能性を示した。同社は1日、米半導体大手エヌビディアと協業し、AIを搭載した産業用ロボットの展開を加速させると発表しており、戦略の行方に注目が集まっている。