2026.01.26 【新春社長対談】シャープ・沖津雅浩社長 構造改革を終え、ブランド事業へ B2Bシフト、新規事業創出、海外戦略加速

インタビューに答える沖津社長

電波新聞社の平山社長電波新聞社の平山社長

 シャープは、デバイス事業のアセットライト化など構造改革を終え、ブランド事業へ経営リソースを集中させて、いよいよ2026年から成長フェーズに入る。新たなコーポレートスローガン「ひとの願いの、半歩先。」を掲げ、シャープらしい商品、サービスの創出を加速、グローバルでの飛躍を目指す。沖津雅浩代表取締役 社長執行役員CEOに26年の展望を聞いた。(聞き手は電波新聞社 平山勉社長)

--25年を振り返ってどういう一年だったでしょうか?
 沖津社長 会社全体では、ようやく(デバイス事業の)アセットライト化など構造改革がほぼ25年度で終わるので、26年は成長フェーズに入る年にしていかなければなりません。

 中期経営計画(25~27年度)の達成をやり、次の中計に向けた種まきの1年にする必要があります。これまでの「節流」から、売り上げを上げて利益を伸ばすという普通の成長パターンに入るようにします。

 25年度は中期経営方針に沿って、デバイス事業ではカメラモジュール・半導体事業の譲渡や、堺ディスプレイプロダクト(SDP)のパネル生産終息、堺事業所の主要資産のソフトバンクやKDDI、積水ソーラーフィルムへの売却、さらに三重県多気町のパネル工場の一部もアオイ電子へ売却し、アセットライト化を着実に進めました。

 あとは、亀山第2工場(三重県)を鴻海に売却すれば、ほぼ予定していた主な土地・建物の処分が終わります。

 これからは、25年4月の組織再編でスタートしたスマートライフ、スマートワークプレイス両事業グループのブランド事業をきっちり伸ばすことが重要です。将来の成長に向け、AI(人工知能)サーバーやEV(電気自動車)に加え、別のテーマでもう一本の柱を作っていこうという段階を迎えています。

--製品やサービスで成功したものや課題が残ったものは。
 沖津社長 アイススラリー冷蔵庫がヒットしたほか、当社のDNAである「目の付けどころ」と「特長技術」という強みを生かしたものでは、対話AIキャラクター「ポケとも」(25年12月発売)が予約も含め5000台以上販売し、手応えを感じています。

 スマートワークプレイスの事業では、業界全体も良かったのですが、当社のパソコン (PC)事業を担うDynabookも全社販売をけん引してくれました。

 PCは1月分の受注が減っており、GIGAスクール構想への対応強化などB2B分野でカバーしていく必要があります。市場全体は縮小していますが、当社PCはB2B向けでシェアトップに躍り出ましたので、引き続きトップグループを維持していきます。

 事務機関係では、コンビニのコピー枚数が好調に伸び、売り上げを伸ばしているMFP(複合機)を使ったビジネスを考えていきます。

 スマートフォンやテレビについては、「目の付けどころ」「特長技術」を持った商品開発をより一層進めていきます。

 テレビの構造改革もマレーシア工場閉鎖をはじめ今年度中に構造改革が終わります。26年度は国内、海外ともきっちり黒字体質へと安定させます。ハードに限らずソフト的なもの、ソリューションを見つけていきます。

--構造改革を終え、26年はどう臨まれますか?
 沖津社長 まず国内はB2Bの商品を増やし、事業を拡大していきます。ソリューションやハードウエアを含め健康関連をしっかり伸ばしていこうと思います。

 海外ではアジア、アメリカ、中近東・アフリカを重点市場とします。リソースをシフトし、三つの重点地域を強化します。アメリカは順調に調理家電が伸びていますが、販路はまだ東海岸だけでしたので、西海岸へ広げます。販路を広げると同時に、拡大する売り上げに見合うようにラインアップを増やすほか、今までなかったカテゴリをやっていきます。25年に初めて高速オーブンを投入し、ガスコンロ、IHコンロ、冷蔵庫、食洗機と、ほぼそろいました。このあとアメリカで何が必要とされているかを見極め、事業を拡大していきます。また、アフリカはエジプトを生産拠点にし、新たな市場として攻めていきます。

--新しいコーポレートスローガンにかけた思いをお聞かせください。

 沖津社長 シャープらしさに戻ろうというのが一番の思いです。25年は成長に向けたいろいろな布石を順番に打ってきて、新スローガン策定はブランド力向上に向けた投資の一つとして、やりたいと思っていたことです。

--R&DやI-Proに取り組み、新規事業創出にも力が入りますね。
 沖津社長 EVの「LDK+」は鴻海の車体をベースに順調に開発を進めています。目標とする27年度発売に向け、販路や価格などを含め事業計画を詰めていきます。

 独自のAI技術「CE-LLM」に磨きをかけ技術の深化に取り組み、エッジとクラウドの強みを生かした最適なソリューション開発を進めていきます。

 加えて鴻海が強みを持つAIサーバー事業の立ち上げにも力を入れていきます。

--26年はどういう一年となるでしょう。
 沖津社長 中期経営計画の最終年度となる27年度の営業利益800億円の達成に向け、さまざまな計画を具体化し、有言実行で臨む一年にしたいと思います。

シャープのあゆみ
 総合電機メーカーのシャープは、早川徳次創業者が1912年(大正元年)に設立した金属加工業に始まる。戦前は、社名の由来となったシャープペンシルを考案(1915年)したが、関東大震災で被災。拠点を東京から大阪(田辺町)に移して再起し、国産第一号鉱石ラジオの量産・販売(1925年)で事業を拡げた。
 戦後は「他社がまねをするようなものを作れ」という早川翁のモノづくりへの情熱を支えに、誠意と創意(二意専心)を経営信条として、電卓、太陽光発電、電子レンジ、テレビなど、世界初・国産初を含め常に業界に先駆けた製品を世に問うてきた。
 グローバル競争の激化で一時経営不振に陥り、2016年台湾の鴻海精密工業の傘下に入る。その後経営再建としての構造改革をほぼ終え、現在再成長のフェーズを迎えている。