2025.10.19 スタートアップW杯2025 世界一は米電池関連企業 東京予選代表がトップ10入り

スタートアップW杯の世界決勝戦で優勝したCoreshellの受賞者=米サンフランシスコ

決勝戦でプレゼンを行うAcompany代表取締役CEОの高橋亮祐氏決勝戦でプレゼンを行うAcompany代表取締役CEОの高橋亮祐氏

Acompanyは世界の舞台で存在感を発揮したAcompanyは世界の舞台で存在感を発揮した

 スタートアップ企業が事業プランを競い合うコンテスト「スタートアップワールドカップ2025」の世界決勝戦が17日(現地時間)、米国サンフランシスコで開かれ、リチウムイオン電池の電極被覆材料を開発する米スタートアップのCoreshell(コアシェル)が優勝した。日本勢も存在感を発揮し、秘密計算技術を強みとするAcompany(アカンパニー、名古屋市)がトップ10入りを果たした。

 世界大会で頂点に立ったのは米イーストベイ予選代表のCoreshellで、リチウムイオン電池の電極をナノ層でコーティングする技術を強みとする。負極で一般的に使われる黒鉛と比べて10倍の容量を貯めることができる低コストで高性能なシリコン負極を開発しているという。

 2位には、孤独な高齢者の日常生活を支援する「AI(人工知能)コンパニオンロボット」を開発したイスラエル予選代表のIntuition Roboticsが選出。3位には、バスや電車、飛行機などを予約できる消費者向け「複合交通予約プラットフォーム」を提供するケニア予選代表のBuuPassが選ばれた。

 強豪スタートアップがひしめく世界大会には、日本予選を勝ち抜いた代表3社も挑み健闘。中でも、東京予選で優勝したAcompanyで代表取締役CEО(最高経営責任者)を務める高橋亮祐氏は、15日の準決勝戦で大観衆を前に堂々としたプレゼンテーションを披露した。同社は3位以内への入賞はかなわなかったが、「ファイナリスト10社」に残り、国際的にも高い評価を得た。

 Acompanyは、機密データを暗号化した状態で計算や分析が行える秘密計算技術を強みとし、秘密計算を用いたデータとAIを保護するセキュリティーサービスを提供している。大会では、世界的に黎明期にある秘密計算領域で蓄積してきた実績や技術力をアピールした。

 スタートアップワールドカップは100以上の国と地域で予選が繰り広げられる世界最大級のピッチコンテストで、米シリコンバレーを拠点にグローバルに投資活動を展開するペガサス・テック・ベンチャーズが主催。各地域の予選を突破した代表企業は、100万米ドル(約1億5000万円)に上る優勝投資賞金をかけて世界大会に挑戦する。

今後のAI関連市場を占う舞台に

 7回目となる今回の大会には、過去最多の100社超が出場。ファイナリストとなった10社の発表を見ると、AIを活用した事業モデルが目立ち、一段の成長が見込まれるAI関連市場の今後を占う舞台にもなった。また日本からは、食品の味を変えずに塩分の吸収を抑えるプロダクトを開発した九州予選代表 のトイメディカル(熊本市)と、東北大学発スタートアップで次世代蓄電池向け高性能触媒の開発に取り組む東北予選代表のAZUL Energy(アジュールエナジー、仙台市)も出場した。