2025.09.10 DDN、HPC関連技術でAI用ストレージ効率化 日本への投資倍増も計画

今回、日本展開強化のためラウンドテーブルを開いた。中央左がトリンドル社長

「スケーラブルなアプリケーションをサポートできる」とInfiniaの強みを語るトリンドル社長「スケーラブルなアプリケーションをサポートできる」とInfiniaの強みを語るトリンドル社長

 ストレージ製品を手がける米データダイレクト・ネットワークス(DDN)の日本法人が9日、AI(人工知能)の開発用データ基盤「Infinia」の国内販売を始めた。AIアプリケーション開発支援のプログラムも提供する。長年HPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)分野に携わってきた実績を土台に、よりエンドユーザーに近い領域の開拓も狙う。

 今回のInfiniaは、低遅延で高速という特徴を持つストレージプラットフォーム。LLM(大規模言語モデル)の推論では、各トークンを生成する際に過去の演算結果を再利用する「KVキャッシュ」が重要な役割を果たす。Infiniaは、KVキャッシュをどのメモリにどう配置し保持するかを最適化し、GPUの効率的な稼働を支える。さらに開発者向けには、SDK(ソフトウェア開発キット)も提供し、アプリから容易に利用できる環境を整える。

 同社は元々、スーパー・コンピューターなど、HPC分野のストレージに関するシステムを追求。効率的なデータ管理に関する技術や知見を積み重ねてきた。AIの用途が推論にも広がる中で、推論用途のAIアプリベンダーなど向けにも技術を提供しようと、Infiniaの開発に至った。

 日本法人のDDNジャパンで社長を務めるロベルト・トリンドル氏は都内で同日開いた発表会で、Infiniaについて「これまでのカテゴリーにない製品」と強調。その役割にも触れ、「HPC側では効率性を追求してきた。これにより、生成AIの分野でも成功する」と力説した。

 全世界の売上高のうち15~20%を占める日本は、同社にとって重要な市場だ。これまでNECやソフトバンクを顧客としてきた。Infiniaの投入により、AIアプリ側にも照準を向け、今後3年で日本への投資額を倍増させる計画だ。AIアプリ開発支援プログラムに対応する人員確保などに充てるという。