2025.12.15 【セミコン特集】17~19日、SEMICON JAPAN 2025開催 テーマは「AI×サスティナビリティ×半導体」、AI主軸に持続可能な発展探る
昨年の SEMICON JAPAN会場は初日から多くの人出でにぎわいを見せた
半導体製造に関する国際展示会「SEMICON JAPAN(セミコンジャパン)2025」が17~19日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される。人工知能(AI)向け先端半導体の旺盛な需要を背景に、日本企業が強みを持つ製造装置や材料が活況を呈する中、AIが稼働するデータセンター(DC)の膨大な電力消費など喫緊の課題解決への道筋を探る内容にもなっている。
1200超の企業・団体が参加
セミコンジャパンは半導体の国際団体SEMIが各国で「セミコン」の名を冠し開催する展示会の一つとして知られ、2024年は延べ参加者数が前年比21%増の10万3165人、出展企業・団体は同15.2%増の1107者の盛況ぶりだった。25年の出展企業・団体は1200者超とさらなる規模拡大を見込む。
市場支えるAIがテーマに
今年のテーマは「AI×サスティナビリティ×半導体」。市場の活況を支えるAIを主軸に掲げた。AIの演算処理を担うロジック半導体やデータを記憶するメモリー半導体は厳しい性能向上の要求に対応するため、チップを切り出す前のウエハー(薄板)を製造する前工程では回路配線の微細化が進む。チップを切り出し樹脂などで封止する後工程で積層化や異種のチップを集積する技術が進展している。旧来の製造装置や材料では対応が難しく、それぞれが新たな需要を生み、日本メーカーも強みを発揮している。
SEMIがまとめた25年7~9月の世界半導体製造装置市場統計を見ると、前年同期比11%増の336億6000万ドル(1ドル156円換算で5兆2509億6000万円)。4~6月との比較でも2%増となった。
SEMIと連携する業界団体の日本半導体製造装置協会(SEAJ)が発表した10月の半導体製造装置速報値によると、日本製装置(輸出を含む)の販売高は前年同月比7.3%増の4138億7600万円(3カ月移動平均)。伸び率は24年4月以降、ほぼ1年半ぶりに2桁台を割り込んだが、24年1月以降の前年同月比増は維持している。
スーパーサイクルへの道示せるか
足元では「AIバブル」への警戒感もくすぶる。米オープンAIやグーグルが巨費をかけ開発するソフトウエアとしてのAIと、その稼働のため多額の維持費をかけて運営するハードウエアとしてのDCが、既存のチャットボットなどにとどまらず高収益の用途を生み出すのか、という疑問は株式市場でも懸念材料となっている。
DCに注力する米IT大手のオラクルの5年物社債は、債務不履行リスクを引き受ける金融商品クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のスプレッド(保険料率)が上昇し、12月中旬に一時16年ぶりの水準に達した。より高い保険料でなければリスクの引き受け手を得にくいことを意味し、市場は同社の事業計画をAI向けDC分野の試金石として見守る状況だ。
一方で、実需に精通する装置、材料メーカーは26年度も堅調が続くとの予想を崩さない。装置大手の東京エレクトロンは特にメモリー半導体でDC向けに加えパソコン、スマートフォン向けが回復すると、さらなる拡大を意味する「スーパーサイクル」に入る可能性があると見通す。
こうしたメーカー側の強気な予測が相次いでもなお市場が懸念をぬぐえない背景には、用途開発の視界不良に加えDCのエネルギー問題や搭載する先端半導体の寿命の短さもある。今回のセミコンジャパンでも持続可能な成長、サステナビリティーを重要なテーマと位置付けており、各社がどのような解決策を提示するかも見どころだ。
AI半導体の“材料”に注目
会場内では分野ごとに「Summit(サミット)」と称するエリアを区切り、それぞれ展示、イベント、セミナーを行う。
25年は省エネルギー技術などに焦点を合わせた「AI×Sustainability× Semiconductor Summit」、計測や検査の先端技術に特化した「Metrology & Inspection Summit(MIS)」を新設した。
後工程を取り扱う「Advanced Packaging and Chiplet Summit (APCS)」や半導体設計に関する「Advanced Design Innovation Summit(ADIS)」も引き続き開設する。
サミットとは別に18日夜には半導体業界の著名人から人気のお笑い芸人まで招いた異色の若者向けイベント「SEMI THURSDAY "WAKAMONO" NIGHT」なども予定する。
展示会に先立ち16日に会場とオンラインでAIと先端半導体の材料動向を議論する「Strategic Materials Conference(SMC)」も注目だ。SEMIが注力するイベントで、日本では米国、台湾、韓国に続く4カ所目として今回初めて開催される。レゾナックといった材料メーカーの純粋な情報発信の場ではなく、キオクシアなどデバイスメーカー、アマゾン・ウェブ・サービス・ジャパンをはじめとする大手DC事業者、金融機関のアナリストも参加する多角的な構成。次世代のロジック、メモリー半導体向け材料の技術のほか、市況、今後の見通しなどについて意見を交わす。
各分野の登壇者が交互に講演を行う形で、材料メーカーが利用者側の最新情報を得る場としても、デバイスメーカーが供給側の動向を把握する場としても利用できるようになっている。








