2025.12.15 【セミコン特集】AI時代へ体操展開、変貌するSEMICON JAPAN 夜のツアーやカードゲームまで SEMIジャパン浜島代表に聞く
SEMICON JAPAN2025の特色を語る浜島代表
セミコンの名を冠して世界各国で開催する展示会はそれぞれ色合いが異なり、日本では製造装置と材料の最新情報を中心に発信してきた。AI(人工知能)時代の到来や環境対応の加速を背景に、技術・産業・人材まで射程を広げて役割を変貌させつつある。17~19日に東京ビッグサイトで開催される「SEMICON JAPAN 2025」は「AI×サスティナビリティ×半導体」を軸に、前工程から後工程、設計、経済安全保障、人材育成までを横断して議論を深める構成とした。主催者であり半導体の国際団体SEMIの日本支部であるSEMIジャパンの浜島雅彦代表に狙いを聞いた。
各国セミコンの特色と日本の位置付け
—今年の特徴は。
浜島代表 日本が強い装置、材料関係者の出展や講演、技術者とのつながりづくりの色合いがある。これと比較して、中国のSEMICON Chinaは半導体デバイス工場関係者の参加、SEMICON Taiwanは台湾積体電路製造(TSMC)とそのエコシステム(生態系)のけん引、米国のSEMICON Westは経営トップの集まりといった特色がある。
—今回のテーマ「AI×サスティナビリティ×半導体」を決めた背景は。
浜島代表 SEMIジャパンの事業でこれらに関わらないものはない。当たり前になっていることを文言にすることで、軸を打ち出した。
—AIバブルの懸念をどう考えますか。
浜島代表 ビジネスモデルが見えないとの声はあるが、インターネットが新たな世界をつくったようにAIについても今は予測できない需要、事業が多数現れる。日本に強みがあり米中でも人型の開発が進むロボットでも半導体を多く使うのではないか。
AI・サステナビリティーと先端技術展示の広がり
—会場内に設ける「AI×Sustain ability×Semiconductor Summit(AIS)」について。
浜島代表 カーボンニュートラルやエネルギーに関する会合の成果などを発表する。米トランプ政権発足で多少の影響はあったが、サステナビリティーは軽視できない。参加企業は光電融合、省エネルギーデバイスなどが地球環境に直接関わると意識しており、それらを広め合うことで大きな動きになるというコンセプトだ。
—前年、構想を明らかにした計測や検査に関するエリア「Metrology & Inspection Summit(MIS)」も実現しました。
浜島代表 計測や検査は、半導体前工程の微細化や後工程のチップレットなどパッケージングを支える先端技術の塊だが、脚光を浴びていなかったと考える。2nm、1.6nmプロセスの半導体も付着するごみの有無を計測し、動作を安価、高速に検査しなければならない。それらの技術を世界の人々に認識してもらいたい。将来はほかの産業とつながる架け橋にもしたい。
後工程・設計・人材、広がる産業基盤
—後工程に関するエリア「Advanced Packaging and Chiplet Summit (APCS)」の特徴は。
浜島代表 一番熱いエリアだろう。4年前から設けているが今回は当時と比べ2倍の出展規模になった。そこに行けば後工程がわかるという場を多くの人が欲していたのではないか。日本は後工程に強みがある。日本の半導体後工程技術の強化を目的に設立された共同研究体「JOINT3」などの枠組みは素晴らしい。
—電子設計自動化(EDA)ソフトなどに関する「Advanced Design Innovation Summit(ADIS)」については。
浜島代表 米国のシノプシス、ケイデンス、シーメンスEDA、日本の図研などがワーキンググループをつくり、学生など向けに情報発信している。また、有明工業高等専門学校(福岡県大牟田市)による半導体回路設計コンテストや、システム・オン・チップ(SoC)設計を学ぶ日本IBMのカードゲーム「The Game」のイベントも実施する。設計の面白さを学生らに知ってもらいたい。
学生の認知度向上目指す
—学生向けに行う「SEMI THURSDAY "WAKAMONO" NIGHT」の内容は。
浜島代表 セミコンジャパンの前年の来場者は延べ10万人を超えたが学生は2000人程度。就職活動向け説明会「未来COLLEGE」や無料講座もあるため、学生の認知度を高めたい。
昼間は来場できない学生も考慮し、夜の時間帯にラピダスの小池淳義社長や経済学者の成田悠輔氏らを招くほか、ブースツアーやデバイスメーカーの若手従業員との食事を交えた交流などを行う。
—このほか注目のセッションは。
浜島代表 「半導体をめぐる経済安全保障と地政学」だ。「半導体戦争」の著者クリス・ミラー氏が登壇する。 SEMIジャパンは技術と産業に携わっているが、経済安保も無視できない。このセッションが技術革新の後押しの力になればと期待する。









