2025.12.23 パナソニックHD、万博パビリオンの看板を創業の地へ 大阪・大開町へ移設

「ノモの国」の看板を創業の地に移設した

原口総合プロデューサー(左)と木村会長原口総合プロデューサー(左)と木村会長

 パナソニックホールディングス(HD)は、大阪・関西万博に出展したパナソニックグループのパビリオン「ノモの国」で使用した建築資材や展示物の移設を進めている。22日には、パビリオンの前に設置されていた館名のサイン(看板)を同社の創業の地である大阪市福島区大開町の野田阪神駅前通商店会内の藤棚の下に移設した。商店会の新たなシンボルとして活用を進めていく。

 パナソニックグループは、長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」を掲げ、企画段階から資源循環型のパビリオンを目指して設計・施工を行っていた。閉幕後は、建築資材の99%以上をリユース・リサイクルする取り組みを進めている。展示物の移設もその一環で、自治体や学校、空港などでリユースすることで、「循環」の考え方や、ノモの国の世界観を体験できる「Unlock体験」のコンセプト「モノはこころの持ちようで捉え方が変わる」をレガシーとして継承していく。

 看板の移設は、大開町がパナソニックの創業者・松下幸之助が「松下電気器具製作所」を創立した場所であることから、商店会の木村邦彦会長が同社に声掛けをしたことで決まった。

 木村会長は「この場所はパナソニックの創業の地であり、記念碑もある。(看板を)責任をもって保存し、新たなシンボルとして育んでいければ。また、看板を移設することで、この地を知ってもらえたら」と話す。

 商店会には、看板のほか、パビリオンのスタンプや、パビリオン内での体験時に使用していた結晶型のデバイス、ノモの国の世界観を表現していた木や岩のオブジェを引き渡す。22日には、看板の移設作業が行われ、設置場所への固定作業などが行われた。看板以外は、2026年中に移設予定だ。

 今後、看板はイベント時に夜間のライトアップを行うほか、結晶やスタンプを活用した商店会でのスタンプラリーなどを計画している。

 パナソニックHD万博推進プロジェクトの原口雄一郎総合プロデューサーは「当社のゆかりの地に声をかけていただけてありがたい。なぜこの場所にあるのかを知っていただきつつ、パビリオンの設計の背景にある創業者の思いにも触れてもらえたら」と話した。

 パナソニックHDは、その他の展示物や什器(じゅうき)も全国各地でリユースする。パナソニックスタジアム吹田(大阪府吹田市)には、ベンチとミスト、屋外照明器具を、大阪科学技術館(大阪市西区)へは、スタッフユニフォームなどを引き渡す。関西国際空港(大阪府泉佐野市)または大阪国際空港(大阪府豊中市)や金沢工業大学などでも展示物を再利用する。