2025.11.14 パナソニックHDなど3社、ガラス型ペロブスカイト太陽電池の量産技術開発へ 実証実験開始
平地面積が限られた日本では、建物の窓や壁面を活用できるペロブスカイト太陽電池への期待が高まっている
パナソニックホールディングス(HD)、AGC、パナソニック環境エンジニアリングは、パナソニックHDを幹事会社とするコンソーシアムを作り、建材と一体化した「ガラス型ペロブスカイト太陽電池」を公共・商業施設に設置する実証実験を始めると発表した。
ガラス型ペロブスカイト太陽電池は太陽電池をガラスで挟み込む建材一体型太陽電池で、建物の窓や壁などを「電力を生み出す場所」として生かせる。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する2025年度「グリーンイノベーション基金事業/次世代型太陽電池の開発/次世代型太陽電池実証事業」に採択された「ガラス型ペロブスカイト太陽電池の量産技術開発とフィールド実証」プロジェクトとして、25~29年度の最大5年間実施する。
量産技術の開発では、モジュールの出力や信頼性、量産プロセスの最適化など、安定した品質で大量生産できる技術の確立を目指す。一連の生産プロセスとして、高いスループットや歩留まりの実現を狙う。
フィールド実証は、来年度から開始。ペロブスカイト太陽電池の特性を生かした施工方法も含めた性能を検証するため、建築物など実用環境での施工・運用を目指す。
太陽電池の設置が困難だった都市部などへの再生可能エネルギーの導入を促すため、ガラス型ペロブスカイト太陽電池の事業化に向けた技術開発を進めていく。
25年2月に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」では、40年度までに太陽光発電を電源構成の23~29%に引き上げる方針が示され、ペロブスカイト太陽電池の導入目標も明記された。
パナソニックHDでは、すでに大型の実証ラインを24年度に稼動。開発するガラス型ペロブスカイト太陽電池は30cm角モジュールで、業界トップクラスの変換効率18.1%を達成した。30年頃の量産化を目指している。
ガラス型ペロブスカイト太陽電池は、独自の材料技術やインクジェット塗布製法、レーザー加工技術を組み合わせることで、サイズや透過性、描画の自由度の高さが特長となっている。
建材一体化とすることで、さまざまなガラス仕様に対応し、耐風圧性能など建築材として求められる基準を満たしつつ、太陽電池としての耐久性も確保できる。これにより、建築業界で確立された幅広い施工方法を活用でき、都市部を含めた太陽電池の設置場所の拡大に大きく貢献することが期待されている。









