2025.12.24 北九州市が宇宙アントレプレナーシップ教育プログラム、北九高専でQPS研究所など講演

講演するQPS研究所の大西社長

 北九州市と未来産業の人材育成などで包括連携協定を結ぶ北九州工業高等専門学校は、宇宙アントレプレナーシップ(起業家精神)教育プログラムを16日に北九州市南区の同校で実施し、知能ロボットシステムコース4年生47人が参加した。

 北九州市は、宇宙産業推進室を設けて宇宙産業の振興に取り組んでいる。今回、宇宙産業やベンチャー企業で活躍する起業家や大学の研究者との講演・交流やワークショップを通じ、宇宙産業や起業を身近に感じることで、将来的に宇宙業界での研究・就職・起業を選択肢の一つにしてもらうことなどを目的に開始した。

 第一部はQPS研究所(福岡市中央区)の大西俊輔社長・CEO(最高経営責任者)、北九州高専OBで東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻の五十里哲准教授が講演。第二部は人工衛星開発ワークショップとして、人工衛星を開発する際に行う「MDR(ミッション定義審査)」を実施。九州工業大学大学院工学研究院宇宙システム工学研究系の北村健太郎教授を講師に、人工衛星を打ち上げる目的についてグループに分かれて検討、発表した。

 QPS研究所は小型SAR 衛星の開発・運用で実績を挙げ、2025年3月に新研究開発拠点「Q-SIP」を開設。12月からQPSホールディングスに体制を移行し、21日にはQPS-SAR15号機「スクナミ-Ⅰ」の打ち上げに成功している。

 14 年4月から社長を務める大西社長は、「宇宙空間では、何が起きているかをデータで判断するしかない」と話し、学生時代に学んでよかったこととして、小型衛星で設計から打ち上げまで携わったことが今に役立っていると語った。

 北九高専出身の五十里准教授は入学後、高専ロボコンに参加し07年には全国優勝。卒業後は東京大学航空宇宙工学科に編入し、24年から同大大学院の准教授を務める。現在は他の大学や企業と連携し、複数の超小型衛星による高精度の編隊飛行などの研究に携わっている。講演ではさまざまな衛星とその仕事を紹介。「宇宙開発は総合システム工学」として幅広い知識が必要で、打ち上げる衛星だけでなく地上のシステムや支援するためのシミュレーターなど、ロボコンを含めて高専で学ぶさまざまなことが宇宙開発につながっていると述べた。