2025.11.26 スリーエムジャパン、フルハーネス型墜落制止用器具により高所作業の安全性をサポート 閉鎖空間用ソリューションも26年初頭から提供開始
コンファインド・スペース用ソリューションのデモの様子
スリーエムジャパン(東京都品川区)は、高所作業での安全対策用に、フルハーネス型墜落制止用器具(フルハーネス)販売に力を入れる。胴ベルト型墜落制止用器具から、安全性に優れるフルハーネスへの切り替え提案を推進する。
墜落防止用製品は、建設業、製造業、風力発電、造船、石油・ガス、航空機、鉱山、通信など幅広い産業分野で必要とされており、順調に市場が拡大している。
日本では、2019年の法令改正により、高さ2mから6.75m以下の高所作業(建設業では2mから5.0m以下)ではフルハーネス型の使用が原則化された(22年1月2日までは新規制への移行期間)。ただ、現状では「高さ6.75m以下(建設業は高さ5m以下では胴ベルトを着用)という従来基準が許容されている面があり、実際の現場では約半数の作業者が胴ベルト型を使用している。このため、同社では法令に基づき、高さ2m以上の高所作業向けに、フルハーネスの着用を推奨していく。
フルハーネスの大きなメリットは安全性の高さだ。胴ベルトはフルハーネスの約4倍から5倍以上の衝撃を作業者が局所的に受けることになり、また、胴ベルトは落下時の頭部からのすっぽ抜けの危険がある。事故が起きた際に宙づりのまま待つことができる時間は、胴ベルトの平均1分38秒に対し、フルハーネスは平均14分23秒に達する。同社は「これらのリスクは、高さ2mでも高さ100mでも変わらない。フルハーネスの方が墜落制止時の身体保護性能が明らかに高い」と説明する。
同社は、19年の法令改正時に、高所作業の安全対策のための幅広いラインアップをそろえた。今後も、日本人作業者に適した製品開発を進めるとともに、デモ・トレーニングを通じた体験機会の提供・啓発活動への注力、他の墜落防止製品群の導入・展開を進める。都内で開催した説明会で、同社安全衛生製品事業部の水谷素子事業部長は「特に26年は、学習機会の提供とソリューション展開に力を入れていく」と力を込めた。
その一環として、26年初頭には、コンファインド・スペース(閉鎖空間)用ソリューションの販売も開始する予定。コンファインド・スペースは、タンクやマンホール、放水路、貯水庫、井戸など、墜落や酸欠・硫化水素、救助する人の被災(二次災害)などのリスクあるスペースを指す。同社のコンファインド・スペース用ソリューションは、これらに対し、安全に作業・救助可能なソリューションとなっている。
米スリーエムは、1940年の世界初の巻き取り式安全ブロックの特許取得を皮切りに、墜落防止用製品の提供で85年以上の歴史を持つ。これまで全世界で100万個以上のフルハーネス出荷実績があり、75ヵ国以上で現場の安全のサポートを行う同分野における世界のリーディングカンパニーとなっている。スリーエムジャパンは、26年も墜落防止用製品事業で「2ケタ以上の売上高成長を目指している」(同社)。











