2025.12.23 2カ月連続で前年同月比プラスに 中国以外の全地域で出荷額増加 電子部品グローバル出荷10月度

 電子情報技術産業協会(JEITA)が発表した2025年10月度の電子部品グローバル出荷額は前年同月比3.0%増の3990億円となり、前月から増加率は縮小したが2カ月連続で前年同月比プラスとなった。AI(人工知能)サーバー・データセンター(DC)関連市場の拡大や産機向けの回復などが需要をけん引した。地域別出荷は中国を除く全ての地域で前年同月を上回った。

 10月度グローバル出荷の分類別では、コンデンサーなどが好調だった「受動部品」が前年同月比7.9%増となったほか、「変換部品」が同2.2%増、「接続部品」が同0.4%増とそれぞれ増加。「その他の電子部品」は高周波部品が低迷し、同13.2%減と減少した。

 地域別では、「アジアその他」が同7.6%増、「米州」が同6.8%増、「欧州」が同5.2%増、「日本」が同2.2%増とそれぞれ増加したが、「中国」のみ同0.8%減の微減となった。

 製品別では、コンデンサ―が同10%増、抵抗器が同10%増と高い伸びとなり、コネクターも同5%増と増加した。一方、高周波部品は同19%減と2割近い減少となっている。

 電子部品グローバル出荷の前年同月比増減は、コロナ禍からの回復により21年から22年前半まで好調に推移したが、22年後半以降はICT(情報通信技術)関係や中華系スマートフォンを中心に調整色が強まり、22年末以降は産機市場でも在庫調整広がった。23年もその流れが継続し、23年度累計の電子部品グローバル出荷は前年度比1%減となり、4ぶりに前年度比マイナス成長となった。

 24年も産機・設備投資関連は低迷が続いたが、北米スマホ需要は堅調に推移。中国でのスマホやノートパソコンなどのICT関連も調整一巡により回復の動きとなった。AIサーバー・データセンター需要増大も、関連部品需要を拡大させ、為替の円安進行も日系電子部品メーカーの出荷金額を押し上げた。この結果、24年度累計の電子部品グローバル出荷は前期比3%増と回復した。

 25年の電子部品市場は、BEV(バッテリーEV)市場の低迷は続いたが、産機関連は底打ちから回復傾向となり、AIサーバー・データセンター関連需要は年間を通じて好調が継続した。為替の円安も日本の電子部品企業には追い風となっている。懸念された米トランプ政権による相互関税の影響も軽微なものにとどまった。一方で、中国をはじめとする世界全体の消費市場はやや力強さを欠き、先行きへの不透明感もある。

 それでも、26年の電子部品需要は、「緩やかな回復傾向が続く」というのが業界全体の見方となっている。

 10月度の電子部品国内出荷額は前年同月比2.2%増の910億円となり、2カ月連続で前年同月比プラスとなった。