2026.10.06 CEATEC AWARD 2026決定 AIの現場活用、社会課題の解決を評価 3大臣賞に三菱電機グループ、TDK、日立
電子情報技術産業協会(JEITA)は6日、「CEATEC AWARD 2026」の受賞案件を発表した。総務大臣賞に三菱電機グループ、経済産業大臣賞にTDK、デジタル大臣賞に日立製作所を選んだ。AIを現場の判断や設備の運用へつなぐ技術をはじめ、災害時の生活維持や医療、地域インフラを支える取り組みが評価された。
同アワードは、13~16日に幕張メッセ(千葉市美浜区)で開く「CEATEC 2026」などの出展技術や製品、サービスを、学術・技術面に加え、市場性や将来性などから審査する。関係学会や専門メディアなどで構成する審査委員会が選考した。
現場で働くAI、次世代端末を支える
総務大臣賞の三菱電機グループは「タスク汎用音源分離技術(TUSS)」で受賞した。機械音や人の声、環境ノイズが混在する音から、必要な音を指定して取り出す。音声の分離・強調や機械音の分離などを単一のAIモデルで処理でき、用途ごとにモデルを作り分ける負担を抑える。ロボットなど現実の機器を動かすフィジカルAIに「耳」を与え、異常検知や音声認識、現場の状況把握を支える。
経済産業大臣賞のTDKは「スマートグラス用ディスプレイ向けメタオプティクスミラー」が選ばれた。ナノサイズの反射構造で光の向きを制御する。網膜に直接映像を描く方式で必要だった大きな曲面ミラーを薄く平坦にし、眼鏡レンズに埋め込めるようにした。虹模様を抑えながら透明度を確保し、通常の眼鏡に近い外観を実現する。光学系の小型・薄型化を通じ、日常的に装着しやすい端末づくりにつなげる。
デジタル大臣賞の日立製作所は、社会インフラ向けAIソリューション群「HMAX by Hitachi」で受賞した。鉄道、電力、産業、金融などを対象に、OT(制御・運用技術)やIT、製品技術、業務知識をAIと組み合わせる。現場データの分析結果を運用や制御へ反映し、保守や意思決定を高度化する。人材不足や設備の老朽化に対応し、将来は複数の設備や業務をまたぐ最適化も見据える。
水を循環、熟練動作をデータに
優秀賞のシャープは、排水レス循環型洗濯システム「トリプルフリーランドリー」で受賞。洗濯排水を浄化して繰り返し使い、節水を図る。平時の設備を災害時にも活用する発想で、固定の給排水設備が使えない避難所や水資源の乏しい地域でも、洗濯による衛生維持を支える。
村田製作所とメルトインターフェーステクノロジーズは、ハンドトラッキンググローブ「ContactGlove3 Pro」が選ばれた。電磁場を利用し、外部カメラを使わずに手指の位置や姿勢を捉える。熟練者の細かな動作をデータ化し、ロボット学習や遠隔操作、技能継承へつなげる。
太陽誘電は、においセンサーとAIを組み合わせた、がんの早期発見に向けた取り組みで受賞。尿に含まれるにおい成分を解析し、医療機関での検査を促す「0次スクリーニング」を提案する。日常生活から受診のきっかけをつくる技術として評価された。
製造・医療から地域のインフラまで
イノベーション賞は、アイクリスタルとDireavaが受賞した。アイクリスタルは、AIと物理シミュレーションを融合した「プロセス全体最適化プラットフォーム」を展開。複数の製造工程を仮想空間でつなぎ、品質や歩留まりを高める条件を探る。Direavaは、内視鏡映像を理解して言葉で説明・対話する外科手術支援AI「Surgical VLM」が選ばれた。手術教育での活用を入口に、将来の術中支援を目指す。
トランスフォーメーション賞は、アマゾンウェブサービスジャパンのフィジカルAI向け研究開発基盤。AIエージェントが仮想環境で試行・評価・修正を繰り返す「Agent Loop」を実機とつなぎ、ロボットを育てる工程の効率化を図る。実機では人の承認と安全制約を組み合わせる。
グローバルイノベーション賞のNoorNationは「LifeBox」が受賞。太陽光発電、揚水、水処理を一体化し、電力や水のインフラが十分に整っていない農業・農村地域へ電力と安全な水を供給する。IoTによる遠隔監視にも対応する。
ネクストジェネレーション賞はTopoLogicとzeteoh。TopoLogicの熱流束センサー「TL-SENSING」は熱の流れを高速で捉え、バッテリーの異常発熱や設備の予兆検知への応用を図る。zeteohの空間AI「TRAILS」は、スマートフォンなどのセンサー情報から、GPSが届かない屋内や地下の位置を推定する。
モビリティイノベーション賞は、併催する「Japan Mobility Show Bizweek 2026」に出展するエバーブルーテクノロジーズの「除雪ドローン」。遠隔操作や自動走行に対応した小型無人の電動除雪機で、雪国の危険を伴う重労働の省人化を支える。









