2026.10.12 【CEATEC 2026】CEATEC AWARD 2026決定 3大臣賞に三菱電機グループ、TDK、日立

「総務大臣賞」三菱電機グループ/フィジカルAIに「耳」

 総務大臣賞は、三菱電機グループの「タスク汎用音源分離技術(TUSS)」が受賞した。工場や公共空間で混じり合う機械音や人の声、環境ノイズから、必要な音を取り出す。

 抽出したい音の種類を指示すると、マイクで収録した音を音源ごとに分離する。音声の分離・強調や機械音の分離など、従来は用途ごとに専用モデルを必要としていた処理を単一のAI(人工知能)モデルで実現。現場や目的が変わっても柔軟に対応できる。

 高速処理やマイク本数に依存しない設計で、ロボット、監視機器、設備機器への搭載を想定する。現実の機器を動かすフィジカルAIに「耳」を与え、異常検知や音声認識、現場記録の精度向上を支える基盤技術として評価された。

「経済産業大臣賞」TDK/薄型ミラーで次世代端末を支える

 経済産業大臣賞は、TDKの「スマートグラス用ディスプレイ向けメタオプティクスミラー」が受賞した。ナノサイズの反射構造で光の向きを制御し、光学系の小型・薄型化を進める。

 網膜に直接映像を描く方式で、眼前に必要だった大きな曲面ミラーを薄く平坦にし、眼鏡レンズへの埋め込みを可能にした。光の干渉による虹模様を抑えながら高い透明度を確保し、通常の眼鏡に近い外観を実現する。

 スマートグラスの普及には、表示性能に加え、日常的に装着できるデザインが欠かせない。光を導く高価な部品「導波路」に依存しない光学系の簡素化にもつながる。次世代端末の実用化や市場形成を支える部品技術として評価された。

「デジタル大臣賞」日立製作所/社会インフラの運用を高度化

 デジタル大臣賞は、日立製作所の社会インフラ向けAIソリューション群「HMAX by Hitachi」が受賞した。鉄道、電力、産業、金融などの現場で、運用や保守、制御、意思決定を高度化する。

 長年培ったOT(制御・運用技術)やIT、製品技術、業務知識とAIを組み合わせる。現場のデータを分析するだけでなく、その結果を設備やシステムの運用・制御へ反映し、継続的な改善につなげる。

 人材不足や熟練技術者の減少、設備の老朽化が進む中、安全性や信頼性が欠かせない社会インフラにAIを実装する力が評価された。個別設備の予兆保全や運用効率化から、複数の設備・業務を横断した最適化へ発展させる構想も持つ。

 その他の受賞案件は次の通り。

▽優秀賞=シャープ(排水レス循環型洗濯システム「トリプルフリーランドリー」)、村田製作所・メルトインターフェーステクノロジーズ(ハンドトラッキンググローブ「ContactGlove3 Pro」)、太陽誘電(においセンシングとAIによる、がんの早期発見に向けた「0次スクリーニング」)

▽イノベーション賞=アイクリスタル(プロセス全体最適化プラットフォーム)、Direava(外科手術支援向けの視覚・言語統合型AI基盤モデル)

▽グローバルイノベーション賞=NoorNation(太陽光発電・揚水・水処理を統合した「LifeBox」)

▽トランスフォーメーション賞=アマゾンウェブサービスジャパン(AIエージェントでロボットの学習・改善を進めるフィジカルAI向け研究開発基盤)

▽ネクストジェネレーション賞=TopoLogic(熱流束センサー「TL-SENSING」)、zeteoh(空間AI「TRAILS」)

▽モビリティイノベーション賞=エバーブルーテクノロジーズ(無人電動除雪機「除雪ドローン」)