2020.07.09 【家電流通総合特集】メーカー販売会社地域店の支援を強化 「ウィズコロナ」で新たな対応策

地域店のエアコン提案も本格化している

地域店でも感染症予防策を徹底しながら催事にも取り組む地域店でも感染症予防策を徹底しながら催事にも取り組む

 メーカー販売会社は、新型コロナウイルス感染症予防の観点から、在宅勤務を軸とした対応を進めつつ、段階的に営業活動を戻しつつある。地域電器店にも「ウィズコロナ」による新しい対応が必要になる中、暑さの本格化でエアコン需要が高まっている。冷蔵庫や洗濯機、4Kテレビなど地域店の主力商品も動きが活発になってきており、販売会社も支援を強化している。

6つのコト提案

 パナソニックコンシューマーマーケティングは、「清潔」「娯楽」「空気」「食生活」「美容」「住環境」の六つでコト提案を推進していく構えだ。吉清和芳社長は「『ウィズコロナ』の中で、新しい生活様式につながる需要をつかんでいく」とし、地域店でも新しい顧客接点の対応を進めていく。

 新型コロナで、花粉やアレル物質、菌、ウイルスの抑制に効果がある「ナノイーX」搭載エアコンによる清潔な室内環境の提案、4Kテレビやブルーレイディスク(BD)レコーダをフル活用したホームビューイングなどの需要が拡大。夏個展もロングランでの開催など各店が工夫しながら取り組み、需要の獲得につなげるとともに、新たな商機を捉えるために「ニューノーマル(新しい日常)」への対応を加速していく。

 通常であれば9月から秋合展のシーズンに突入する。今年は新型コロナの状況を慎重に見極めながら方針を固める意向だ。

 吉清社長は「お客さまの安全確保が最重要。政府の指針を参考にしながら方向性を決めていく」とし、今後の状況を見て判断していく考えだ。

来年に弾みつける

 東芝コンシューママーケティングは、今年1月からの新体制でコロナ禍を突き進み、1-6月の売上げが前年超えを果たした。千田一臣社長は「下半期も新商品をしっかり売り込み、来年に弾みをつけたい」と力を込める。

 同社は、親会社の東芝ライフスタイルがマイディアグループ(美的集団)傘下となって以降、会計年度を1-12月に変更。その半面、組織変更や人事異動は従来通り4月に行っていた。今回、組織変更を初めて1月に実施し、9支社を7支社に、70支店を60支店に統廃合。支社内では地域店と量販店それぞれの責任者を設けた。

 千田社長は「家電流通において、量販店と地域店(東芝ストアー)は本来やるべきことが違うにもかかわらず、以前は担当が同じだった。今回、担当を分けたことで、各店舗に合わせた柔軟な対応ができるようになった」と話す。

 同社は、コロナ禍での新たな対応策として、QRコード付き小冊子を販売店に配り、それを読み込むことで商品動画を視聴できるようにした。商品研修会などが実施できないことを受けての対応だ。

 千田社長は「オンラインフェアや、(オンラインビデオ会議システムの)Zoom(ズーム)を利用した本社からの情報発信など、状況に応じてスタイルを変化させる必要がある」と今後の方向性を示している。

特徴的な商品武器

 シャープは、新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、新しい生活様式へのニーズに対応する特徴的な幅広い商品・サービスを武器として、ビジネスチャンスの獲得に力を入れる。

 シャープの宮永良一常務兼シャープマーケティングジャパン取締役副社長は「新型コロナウイルス感染症を未曽有の危機と受け止める一方、新生活様式に対応したビジネスチャンスとしてキャッチアップを図り、お客さまの業績拡大に貢献したい」と話す。

 外出自粛による〝巣ごもり〟需要をはじめ、新生活様式に即した様々なニーズが生じた。同社では「ヘルシオ ホットクック」「ヘルシオデリ」に対する需要が拡大。充電式スティック掃除機も自宅で過ごす人が増えたことで需要が伸びているほか、空気清浄機と呼べる、唯一のエアコン「エアレスト」については、6月の販売台数が前月の約3倍と急伸した。

 宮永常務は「エアコンの本格需要期に合わせ、6月末から7月中旬までテレビCMなどのプロモーションも展開しており、エアコンの買い替え提案も一層強化を図っていく」としている。

 販売会社は、感染症予防策を徹底しながら、インターネットを最大限に活用した施策を打ち、市場の活性化につなげようとしている。