2020.07.20 経理・財務担当の働き方改革  スーパーストリーム、 「AI-OCR」提供開始

会計業務のAI活用の必要性を強調する山田取締役会計業務のAI活用の必要性を強調する山田取締役

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、企業のテレワークが急速に進む中、取引先との書類や社内書類などの関係で、経理・財務部門のテレワークが進展しない問題が浮上している。

 キヤノンマーケティングジャパングループのスーパーストリーム(角田聡志社長)は、会計業務に特化したAI(人工知能)搭載の「SuperStream-NX AI-OCR(請求書)」の提供を8月1日から開始、経理・財務担当者の働き方改革を支援する。

 スーパーストリームでは、大手出版社と共同で、企業のテレワークの導入状況を調査(4月緊急事態宣言期間)した。これによると、全ての業務をテレワークで行っている比率は、経営企画が40%弱、その他部門が約50%なのに対して、経理・財務では25%強にとどまっていた。

 また「多くの業務がリモートではできないため、基本的に出社している」との回答も、ほかの職種と比べて高い。背景には、業務に必要な書類が電子化されておらず、業務システムがクラウド化されていないことがある。

 同社の山田誠取締役企画開発本部長は「ウィズコロナ時代に、経理のテレワークを促進するためには、紙の撤廃(ペーパーレス)、クラウドの利用拡大、AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用がポイント」とみる。

 今回、AIとクラウドサービスを活用し、経理・財務部門の働き方改革を支援する。これまで会計・人事給与分野に特化した経営基盤ソリューション「SuperStream-NX」を、累計で9478社(うち上場企業805社)に提供してきた。

 新たに提供開始するSuperStream-NX AI-OCR(請求書)では、OCR(光学的文字認識)に会計業務に特化したAI技術を組み合わせ、請求書の入力処理から会計システムへの連携までの一連の業務プロセスを自動化する。これにより、煩雑な請求書の入力業務の負担軽減と生産性向上を実現できる。

 約9500社のSuperStreamユーザーが受領して読み取った請求書(PDF)を、ディープラーニング(深層学習)で学習、AIの精度を高め、フォーマットを問わず様々な請求書の画像解析(請求書情報読み取り)に対応する。

 山田取締役は「読み取った請求書情報で、AIが勘定科目を推論する。さらにクラウドサービスと連携し、推論の精度を上げられるところが最大の特徴」と強調する。仕訳データを自動作成、会計システムとスピーディに連携が可能。また、個社ごとに個別ルールを設定できるため仕訳の精度を上げられる。

 読み取った請求書の電子ファイルは、エビデンスとして仕訳に添付され、SuperStream-NXに自動連携する。e文書対応オプションと組み合わせることで、e-文書法にも対応し、ペーパーレス化にも寄与。AI-OCR(請求書)を第1弾に、今後、領収書や監査など領域を拡大していく。「21年末までにスーパーストリームの導入企業1万社を目指す」(山田取締役)計画を持つ。価格は1セット年額120万円から(税別)。