2020.07.21 【家電総合特集】パナソニック河野明アプライアンス社副社長日本地域コンシューマーマーケティング部門部門長

新たな価値を伝え需要創造

 新型コロナウイルスの感染拡大で、生活する上での関心事が見直され始めた。当社もそうしたニーズに合わせて、新たな価値を伝え、需要を創るマーケティング活動に挑戦している。

 巣ごもり、テレワーク、感染予防、除菌などの新生活様式に対応し、自宅で過ごす時間が長くなることによる「ホームビューイング」訴求や、家庭内における「おこもり美容」の提案といった、価値自体はこれまでも訴求してきたものだが、販促ポイントを変更することによって顧客により響く内容にしている。

 テレビについては、生産拠点のあるマレーシアがロックダウンしたこともあり、当社としては製品供給ができない状況が続いていたが、徐々にそれも改善しつつある。地デジの買い替え需要とホームビューイング需要は堅調であり、また、家庭内で自由に持ち運びできる小型テレビ「プライベート・ビエラ」は実需が急速に伸びている。テレビ需要は今後も期待できる。

 「ウィズコロナ」の需要を捉え切ることができれば、国内家電も成長性は持続できると考えている。基盤となるエアコンや冷蔵庫、洗濯機の大型白物家電は販売が堅調である上、新たな需要が積み上げられるからだ。

 家電量販店の店頭でも販促方法を変えている。感染予防の観点から長時間の接客が難しくなり、非対面で製品を訴求することが重要になった。例えばエアコン売り場には、小型モニターを全国で1800台ほど導入し、綾瀬はるかさんを起用した説明動画を流している。また、様々な製品で、POPにもQRコードを印刷し、来店客自身が製品の特徴を、スマートフォンを使ってセルフで理解できるようにもしている。

 当社は「くらしアップデート業」を掲げ、IoTを軸としたアップデータブルな家電の展開にも力を入れている。ロボット掃除機はネット接続率が5割に達するなど、高い接続率を持つ製品もある。エアコンは、ボトム機以外は全て無線LANモジュールを内蔵し、今年は接続率25%を目指している。接続するために必要なステップを簡素化し、簡単接続できるようにしていきたいと考えている。

 つながる家電となって初めてアップデータブルな対応が可能になった。新しい生活様式が定着していく中、ライフスタイルに合わせて進化するIoT家電はさらに重要性が増していく。

 デジタルカメラでは(短い動画をブログ形式で公開する)「Vlog」に対応するミラーレス一眼の新製品を発売する。掃除の本質を追求し、髪の毛が絡まない「からまないブラシ」を新搭載した掃除機も発売しており、お客さまが今本当に求めている価値訴求を強化している。

 下期は、ウィズコロナの中、来年のオリンピック・パラリンピック開催の影響がどう出てくるか見通しにくいが、新たな生活様式の変化に合わせたマーケティングプランを実行し、成長性を確保していく。