2020.07.21 【家電総合特集】シャープ沖津雅浩専務執行役員スマートライフグループ長兼Smart Appliance & Solutions事業本部長

プラズマクラスター搭載商品を最重点

 19年度下期は、日本国内が消費税増税後の反動減に加え、本年年初からの新型コロナウイルスの世界的流行に伴う経済活動停滞の影響により、生産・販売とも非常に厳しい状況となった。新型コロナウイルス感染症は早期の収束が見通せない状況にあるが、当社としては「ウィズコロナ」時代で顕在化してきた新生活様式のニーズをいち早く捉え、それにマッチした商品開発やプロモーション活動の強化を進めている。

 特に、空気清浄機やエアコンなどの「プラズマクラスター」搭載商品を最重点テーマとして取り組んでいく。

 国内では、プラズマクラスター搭載空気清浄機の販売が2月以降急増し、現在も家庭向けのほか法人向けの需要拡大が続いて、4月以降前年比約2倍と好調に推移している。

 空気清浄機と同等性能を搭載した唯一のエアコン「Airest(エアレスト)」も6月度の販売台数は前月の約3倍まで伸長するなど、高付加価値機種の販売が好調だった。

 プラズマクラスターは、2000年の発売以来今年で20年の節目を迎えるが、新型コロナの影響で空気浄化への関心の高まりから、グローバルでも引き合いが急増している。

 世界累計販売台数は、当初の見込みよりも早く今年3月末時点で9千万台に到達した。今後もさらなる販売拡大を目指し、早期に累計販売台数1億台を達成したい。

 「プラズマクラスター技術」については、現在新たなウイルスへの効果の検証を研究機関と共同で進めており、効果が確認できれば速やかに公表していく。

 ほかにも、子育て世代の家庭を中心にヒット商品となった「ヘルシオ ホットクック」が、自粛に伴う「巣ごもり需要」で今年4月以降の販売台数が前年比約3倍と好調に推移した。これに伴い、料理キット宅配サービス「ヘルシオデリ」の受注も大幅に増加した。

 当社は中期ビジョンとして「モノづくり主体の家電メーカー」から「サービス・ソリューションを提供するIoT企業」へのトランスフォーメーションを目標としている。この取り組みの中心となるAIoT家電商品は、19年度の白物家電における対応機種の割合が50%を超えるまでに成長した。

 クラウド上のAIにつながることで購入後も進化するAIoT家電商品群の販売拡大を通じて、さらなる新たな価値・ソリューションを家庭向けと法人向けに提供していく。

 海外では昨年来、当社の主力市場であるASEANを中心にエアコンや冷蔵庫、洗濯機と全般的に販売が好調だった。2月以降、新型コロナによるロックダウンで、全世界的に一時的な落ち込みが見られたが、経済活動の再開とともに市場は急速に回復傾向にある。

 今年度はASEANに加え、米国やインド、中国を重点戦略地域と定め、各市場のニーズに合わせ、積極的に新規商品の投入や新規ビジネスの立ち上げに取り組むとともに空白市場への参入も進めて、海外事業の売上構成比を高めていきたい。