2020.08.19 【コネクタ特集】市場別製品動向
Z軸可動0.8ミリピッチ基板対基板フローティングコネクタ
車載電装用、「CASE」に照準を合わせる
車載電装用コネクタでは「CASE」に照準を合わせた、高速伝送・高周波技術をはじめ高精細画像伝送技術、防水技術、小型・高信頼性技術などを駆使した新製品開発が進展している。
車載カメラは、従来の標準だった30万画素タイプ(VGA)から、100万画素クラスへの切り替えが進みつつあり、ADAS/自動運転をサポートする高速デジタルセンシング用カメラへの進化が加速。
各社は、こうした車載カメラの技術進化に照準を合わせたカメラモジュール接続用コネクタやカメラECUインターフェイスコネクタなどの技術開発を強化しており、高画質の車載デジタルカメラで要求される3ギガbpsなどの高速伝送性能を実現しつつ、小型・高性能で防水性にも優れた製品開発に注力していく。
今後の市場本格化が見込まれるLiDARでも、対応コネクタには小型化が要求される。ミリ波レーダー用コネクタも、さらなる小型化と防水性能アップが求められている。
高速伝送系では車載イーサネット用コネクタへの参入メーカーが増加。車載イーサネット用には極めて高い信頼性が欠かせない。
EV/PHV用では、車載インバータやモーター、バッテリ回りに使用される大電流/高耐圧対応製品の開発が活発化する。エンジンルーム周辺等での使用用途向けに、125度/150度対応などの高耐熱FPCコネクタ開発も盛んになっている。
携帯端末用、5Gなど向け小型・高性能化進む
携帯端末向けは、5Gスマートフォンやタブレット、ウエアラブル機器用の小型・高性能コネクタ開発が活発だ。最近の世界のスマホ市場は、台数成長が鈍化する一方、端末の高機能化が一段と進む。急速充電や完全防水へのニーズも強い。
各社ではこれらに対応する内部接続用微細コネクタやインターフェイスコネクタ、大電流対応品などの開発を強化している。
内部接続コネクタは、基板対基板用やFPC接続用コネクタの一層の小型・高性能化が進展。基板対基板コネクタは、0.4ミリ/0.35ミリピッチの狭ピッチ品を中心とした拡充が進み、嵌合高さ0.5ミリメートルの超低背構造の0.4ミリ/0.35ミリピッチ基板対基板コネクタなどが開発されている。0.3ミリピッチ基板対基板コネクタも実用化された。
FPC接続用コネクタは、0.3ミリピッチFPCコネクタの低背化および省スペース化とともに、より狭ピッチの0.25ミリ/0.2ミリピッチ品開発が進む。作業性に優れる「ワンアクションタイプFPC/FFCコネクタ」の提案にも力が注がれる。
インターフェイス用は「USB3.0(最大データ転送速度5ギガbps)/3.1(同10ギガbps)」対応の新世代I/Oとして、「USBタイプC」準拠コネクタの開発が活発になっている。ウエアラブル機器用では、スマートウオッチやワイヤレスヘッドホン向けに超小型基板対基板コネクタの開発が進んでいる。
産業機器/インフラ用、小型・堅牢・高速通信対応など
コネクタ各社は、中長期の市場拡大が期待されるFA/産業機器や5Gインフラ、データセンターなどに向けた新製品開発および製品ラインアップ拡充に力を入れている。
インターフェイスコネクタはマシンの小型・高性能化に対応するため、小型・堅ろう・長寿命・高速通信対応などが重視される。
産業機器用丸型コネクタでは、ワンタッチロック嵌合方式の防水丸型コネクタなどの提案が進む。ワンタッチロック嵌合方式は嵌合操作性に優れ、経年変化によるねじの緩みも解消されるため、信頼性やメンテナンス性の向上に貢献する。
汎用RJ45ジャックと比較してレセプタクル体積の大幅な削減を実現するワンタッチ完全ロック式の産業機器向けインターフェイスコネクタの提案などが強化されているほか、5G基地局向けでは、防水小型光インターフェイスコネクタや、45ギガヘルツ対応高周波同軸コネクタ、放熱性向上ニーズに対応する製品などが訴求されている。
産業機器の電源用コネクタは、200A/250Aなど大容量化への対応や、従来品と同等の電気容量を備えながらも小型化を図った製品開発などが進展する。
テレコム/データコム関連では、56ギガbps/28ギガbpsといった超高速伝送に対応するハイスピード対応コネクタなどの開発が活発になっている。