2020.08.31 【ソリューションプロバイダ特集】NECネッツエスアイ 牛島祐之社長

分散型ワークで 顧客のイノベーション支援

 21年3月期第1四半期(4-6月)の事業環境をみると、新型コロナウイルスの影響で一部業種に減速感が見られたが、働き方改革や文教関連のデジタルソリューションが売上げを伸ばすなど、ほぼ順調に推移した。

 コロナを機に働き方を変革する機運が高まる動きに先立ち当社は、働く目的に応じてオフィスを使い分ける「分散型ワーク」を昨年10月から実践している。都市部への一極集中を是正したいという社会的な使命もある。

 コロナが働き方改革に向けた企業の背中を押し、「デジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)が必要」という説明が要らなくなった。

 サテライトオフィスは首都圏1都3県に7カ所設置した。分散型ワークで社員が思う存分に生き生きと働ける環境を追求し、生産性の向上につなげたいと考えている。

 例えば、東京本社に所属する一人の社員が、北海道函館市にあるシェアオフィスで完全テレワークを実施している。その後も柔軟な働き方が広がり、約7800人のグループ社員の大半がテレワークを実践している状況だ。人事の評価軸を時間から成果に切り替えるための議論も進めている。

 コロナを機に訪れた「ニューノーマル(新しい日常)」時代では、DXが急激に加速するだろう。これまで当社で実践した成功事例をベースに顧客企業が抱える課題の解決を支援してきたが、その時間軸を超える必要が出てきた。それくらい世の中が一気に変わった。

 オープン志向で情報や技術をシェアする時代に突入した。2月に日本橋に開設した「イノベーションベース」(東京都中央区)を起点にして、社内外を問わず多くの人とイノベーションを加速していく。

 6月には技術開発拠点「テクニカルベース」(川崎市幸区)を開設した。11月には、テクニカルベース内に5G(第5世代移動通信システム)のラボを設ける予定だ。この拠点で、新たなサービスを支える技術の開発や検証を後押ししたい。こうした展開を通じてノウハウを当社に蓄積し、顧客を手伝う幅を広げたい。