2020.09.28 【汎用インバータ特集】安川電機GA700/同500など注力

汎用インバータGA500

 安川電機の汎用インバータ事業は、1974年に出荷を開始して以来、累計出荷台数が既に2700万台を突破した。従来のインバータシリーズを刷新し、一般産業用機械や設備に最適な汎用製品および用途に特化した新シリーズのGA700を16年4月から販売を開始。第2弾としてクレーン用途向け専用インバータCR700を17年8月に市場に投入。さらに同シリーズ第3弾として汎用小型高機能インバータGA500を19年4月から販売を開始した。

 GA700は、新モーター制御による高効率化、周辺機器を取り込んだシステムのコストダウン、世界中どこでも使える優れた環境適合性により、機械装置・設備の高付加価値化を実現する。

 クレーン専用CR700は、起動時や停止時に荷重を保持するのに必要なトルクを素早く確保し、ずり落ちを防止する「ブレーキシーケンス機能」、モーター2台で昇降の共つりを行う場合や走行を行う際に、左右のバランスを崩さないよう位置やモーター負荷バランスをインバータが自動で制御する「斜行防止機能」、特別なセンサーがなくても横走行時の荷振れを抑制しながら運転できる「荷振れ抑制機能」を搭載し、クレーンの信頼性・生産性向上に貢献する。

 GA500は、同社独自のPMモーター用アドバンストベクトル制御技術によりセンサーレスでPMモーターの磁極位置を検出、運転することで、ゼロ速度100%トルクを出力が可能。また、革新的なPMモーター制御技術により最小限の電流で運転することができ、さらなる省エネも実現する。

 新型マトリクスコンバータU1000の販売にも注力している。三相の交流電源から9個の双方向スイッチを格子状(マトリクス)に接続して、任意の電圧、周波数を直接作り出す電力変換装置だ。ACをDCに変換せずに周波数や電圧を可変する。

 U1000の品ぞろえを拡充し、中高速エレベータや高調波対策が必要なエレベータ向けに特化したU1000Lを市場投入した。マトリクスコンバータ技術により、電源高調波の抑制、電源回生に必要なコンバータや高調波フィルタなどの周辺機器が不要となり、制御盤の小型化を実現する。

 船級規格に対応したマトリクスコンバータU1000EMCフィルタ内蔵タイプも市場に投入している。各国の船級規格に適合しているため、船舶設備の船級規格申請時に必要な評価試験や申請期間が短縮できる。コンバータや周辺機器が不要で、設置面積を約50%小型化(400V45kWの場合)した。

 同社の子会社である安川モートルのPMモーター事業をインバータ事業部に19年3月に吸収した。

 誘導電動機は、商用電源の周波数(50/60ヘルツ)をそのまま使ったり、商用電源の周波数をインバータで可変して回転数を変えるが、PMモーターは構造上、商用電源をそのまま使うことができず、インンバータが不可欠になる。PMモータ-とインバータとの組み合わせによる普及を加速させる。