2020.11.25 【5G関連部品特集】回路部品小型化・高密度実装化が一層要求
5G基地局への設備投資が活発化し、関連部品の需要が伸びる
第5世代高速通信規格「5G」が徐々に普及している。高周波技術を生かした高速、大容量、低遅延、同時接続などを特徴に5G用スマートフォンの新製品が相次いで市場に投入。基地局などのインフラ投資も活発化してきた。こうした動きに伴って、電子部品の需要も伸びており、部品メーカーでは引き続き新製品開発、生産体制の強化を展開する。
5Gスマホでは、高速、大容量の特徴を生かして、高機能化に加速をつける。また、大容量化のために電池面積を確保する必要もあることから、回路基板の小型化と高密度実装化が要求される。
プリント配線板は、次世代製造プロセスであるMSAP(モディファイド・セミアディティブ・プロセス)の採用が本格化する見通し。L/S=30マイクロメートル/30マイクロメートル以下へとパターンの微細化が進んでいる。高周波回路には、高周波特性に優れたFPCの開発が活発化している。
搭載部品に対しては、一段と小型化を要求する。MLCCやインダクタ、抵抗器など主要回路部品は、0603サイズ、0402サイズといった極小チップの搭載化率が高まっている。
高機能化でセンシングデバイスの搭載点数が増える。小型化を要求することから様々なMEMSセンサーの開発が進展する。
また、変調精度(信号の位相と振幅のズレ)は、装置で使用する基準信号源の位相雑音による影響が大きいため、低位相雑音の小型TCXOの新製品も相次いで開発された。
5G用基地局は、小型基地局(スモールセル)を近距離間で数多く設置する。そのため、基地局用部品も小型であることが必須の条件。しかも実装密度が高まるために耐熱性に優れ、耐湿など耐環境性も同時に求められる。さらにメンテナンスフリー化に対応し、高信頼性、長寿命化も必要不可欠。
コンデンサは、MLCCの小型、大容量化技術が進む。アルミ電解コンデンサは、電解液タイプに加え、低ESRを特徴とする導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ、さらには135度対応の導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサといった固体電解コンデンサの採用が活発化する見通し。
抵抗器は、抵抗値精度、抵抗温度係数、経年変化などに優れた厚膜、薄膜のチップ抵抗器、さらに耐環境性を配慮した耐硫化チップ、耐サージチップ、電源回路では、シャント抵抗器の新製品開発が進展する。