2020.12.15 賃貸住宅大手が進める再エネ普及策「意思ある姿勢」に評価も、大東建託
大きな木造屋根が特徴の展示場
賃貸住宅大手の大東建託(東京都港区)は、再生可能エネルギーの普及に向けた取り組みを推進している。木造集合住宅メーカーならではの事業や、建設現場での新たな試みなどを開始。こうした点が評価され、グリーン購入ネットワークが主催する「第21回グリーン購入大賞」で優秀賞も受賞した。
同大賞では、製品やサービスの購入時に、環境を考慮して、できるだけ負荷が少ないものを選ぶグリーン購入の拡大に寄与した企業などを表彰。SDGsの目標の一つ、「持続可能な消費や生産パターンの確保」も踏まえて審査している。
大東建託は、グループ全体の事業用電力を40年までに100%再エネに転換することを目標とし、19年1月に国際的な環境イニシアチブ「RE100」に加盟した。
その一歩として、東京都江東区で20年6月にオープンさせたのが、「ROOFLAG(ルーフラッグ)賃貸住宅未来展示場」だ。「賃貸住宅専門の情報発信基地」を目指して、敷地約3000平方メートルには、特徴ある大規模な木造屋根が目を引く展示施設などが並ぶ。
施設で使う電力は、森林未利用材や建廃木材などを燃料としたバイオマス発電で賄って、再エネ電気100%で運営している。
同社は、木造の集合住宅を多く手掛けてきた経緯があり、グリーン購入大賞の審査委員会は「本業と関連する木質バイオマス発電を重視する考え方」などについて、「意思を持った取り組み姿勢」だとして評価した。
建設現場に再エネ拡大へ
また、20年7月からは全国の636事業所で再エネ電力の導入を順次開始。同年8月までに約3割に相当する202事業所で導入した。この切り替えだけで、グループの二酸化炭素(CO₂)排出量を17年度比で12.6%削減できる見込みだ。
さらに、再エネ拡大の手は、賃貸アパートなどの建設現場にも及んだ。愛知県北名古屋市では、コンプッレッサや電気機器などを建設作業で必要な電力を再エネに切り替えた。内装工事の際も室内で再エネを使用することで、建設全体に必要だった電力をすべて再エネで賄い、20年9月に仕上げた。
静岡県浜松市でも同じく9月に、再エネを一部活用して賃貸物件を完成させた。今後、すべての建設現場で脱炭素化に向けた取り組みを推進していく方針という。
大きな建設現場では、仮設事務所を設営し、事務所内のエアコンや室内照明、現場用の仮設エレベータなどにも電気が使用されることになる。大東建託広報部は「まだトライアルの段階だが、各現場で、再エネを供給できる電力会社と個別に契約する必要があるなど、仕組みづくりが大変になっていく」と明かす。今回の試行で得たノウハウなどを広く建設業界で共有していきたい考えだ。